CADソフトの動作確認とネットワーク帯域を徹底検証
――VDIの構築プロセスで苦労したところはありましたか。
①CADソフトの動作確認
高垣 エンジニアは業務に応じて数種類のCADソフトを利用していました。そこで、実際にVDIを利用する約50名のエンジニアに協力いただき、それぞれのCADソフトがVDIの環境で問題なく動作するか、「表1 VDI検証の作業項目」にそって検証しました。
表1 VDI検証の作業項目
3Dモデルの回転にやや遅れが出るなど、不具合が発生した項目についてはVDIソフトのパラメータを調整。最終的には一部を除いて動作させることができました。なお、仮想端末は約5km先のデータセンターに設置しているため、デスクトップ画面を転送させるVDIではどうしてもコンマ数秒のタイムラグが発生してしまいます。こうした状況とはいえ、大半のエンジニアから「影響ないレベル」とおっしゃっていただきました。逆に、CADサーバと仮想端末が同じデータセンター内にあることで、「表2 CADソフトの起動とデータの読み込み」のように従来よりも高速化したところもあります。結果、本番VDIの導入に向け、多くのエンジニアから利用価値アリと判断していただけました。
表2 CADソフトの起動とデータの読み込み
②VDI利用時に必要なネットワーク帯域
藤原 在宅勤務の場合、ネットワーク環境が作業効率に大きく影響してきます。そこで、今度は63名のエンジニアにご協力いただき、ネットワークの帯域状況を調査して「耐えられない」「問題なく利用できている」に大別。その結果、在宅勤務でVDIを利用するには、少なくとも11Mbpsが必要だということが分かりました。
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 ICT&セキュリティソリューション本部 ICTソリューション事業部 クライアントソリューション部 PCソリューションチーム 藤原 卓哉
光回線を利用している多くのエンジニアは問題なく動作していましたが、一部のADSLやモバイルルーターの場合は11Mbpsに届いていませんでした(表3 在宅のネットワーク分布)。これを踏まえ、必要帯域を満たしていないエンジニアに対しては、VDIを利用するためのネットワークについて検討をお願いしました。
表3 在宅のネットワーク分布