顔認証入退場システムを導入
安心の園内環境に加え、
スムーズ入園・顔パス乗車など利便性アップ

富士急行株式会社様(以下、富士急行)は2018年夏、人気アミューズメントパーク・富士急ハイランドの入園無料化を決定。これまでよりも気軽にお越しいただけるようになった分、園内セキュリティと利便性の向上が課題となりました。現行のオペレーションが複雑化しないしくみを検討した結果、パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)の提案した顔認証技術をベースとする入退場システムを導入。入園者様に安心してお過ごしいただける園内環境と、スムーズ入園やアトラクション「顔パス」乗車などの利便性を実現されました。
課題
  • 入園無料化に際し、園内セキュリティと利便性を向上させたい

  • 現行のオペレーションが複雑化することは避けたい
解決
  • 入園者全員の顔を認証することでセキュリティ向上。認証速度はわずか約1秒
  • アトラクションへの「顔パス」乗車が可能になり、フリーパスがさらに便利に

幅広い需要に対応するため入園無料化を決定

富士急ハイランドでは2018年夏に「入園無料化」がスタートし、大きな話題を呼んでいます。その狙いは、現在のメインユーザーである20代のお客様だけでなく、地元の方やインバウンドを含めた幅広い年代の方にお越しいただくことだといいます。

富士急行株式会社 執行役員 企画部部長(IR担当)の斉藤隆憲氏は「富士山エリアには年3600万人の観光客が訪れていますが、その中で富士急ハイランドのお客様は1割未満。まだまだお客様として取り込める余地があるのではと考えました。富士山観光に色々な目的で来られたお客様に少しの時間でも立ち寄っていただけたらと、入園無料化に踏み切ったわけです」と戦略を語ります。
富士急行株式会社
執行役員 企画部部長(IR担当)
斉藤 隆憲 氏

園内セキュリティと利便性を求めて「顔認証」に着目

入園無料化で幅広いお客様に入園いただくため、課題として浮かび上がったのが"園内セキュリティ"と"利便性"。不特定多数の人が訪れても、これまで通り安心してお過ごしいただけるアミューズメントパークでなければいけません。また、入園者数が増えても、入園やアトラクション乗車でお待たせするようでは満足度を下げてしまいます。

検討に次ぐ検討の中、生まれたアイディア。それは「顔認証」でした。
「顔認証技術を使い、入園時に入園者様お一人お一人の顔を認証すれば、園内での不正行為などを抑止できます。さらに、顔をカメラに向けていただくだけでお客様をスムーズにお通しできるほか、スタッフがチケットを受け取り券種を確認する必要もなくなるため、スムーズなオペレーションによるお客様の利便性向上にもつながると考えました」(斉藤氏)。

既存チケッティングシステムとの連携性も重視

選定にあたっては「顔認証性能はもちろんですが、オペレーションをスムーズに行えるよう、既に動いているチケッティングシステムとの連携性も重視しました」と斉藤氏。

パナソニックの顔認証システム※1が有する世界最高水準の顔認証性能※2と、導入実績豊富でチケット販売の流れを熟知したパナソニックISの提案が評価され、今回ご採用いただくこととなりました。

※1 : パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 イノベーションセンターの技術です
※2 : 2017年4月、アメリカ国立標準技術研究所NIST(IJB-A)の比較試験において世界最高レベルの顔認証性能を達成

パナソニックISの知見がスムーズな運用に活きた

顔認証による入退場システムの運用は、2018年7月14日の入園無料化と同時にスタートしました。
入園者様はチケット窓口で入園券・フリーパスを入手した後、入園ゲートでチケットのQRコードをかざしながら顔を登録し、入園いただくこととなります。事前に富士急ハイランドWebサイトで顔を登録済みのお客様は、優先ゲートで顔認証を行うだけ。顔認証速度はわずか1秒程度とスムーズです。

「導入にあたり、パナソニックISはまずチケットの券種ごとにオペレーションの整理を行ってくれました。富士急ハイランドでは1日限りのフリーパス、年間フリーパス、往復の交通機関と合わせたセット券などさまざまなチケットをご用意しているため、それぞれの券種に応じたオペレーションを考慮してシステムを構築してくれたのです。これはチケッティングシステムの知見が深いパナソニックISだからできたことだと思いますね。おかげで、顔登録、顔認証、そして入園までの一連の流れをスムーズに運用できています」(斉藤氏)。

富士急ハイランドには世界一の絶叫アトラクションを体験しようと海外からの旅行客も大勢訪れますが、QRコードをかざしてカメラを見るだけと非常にシンプルなシステムのため、入園ゲートに滞留ができることはほとんどないそうです。

フリーパスならアトラクションに「顔パス」で乗れる

さらに、フリーパスご購入のお客様は、アトラクションに「顔パス」で乗車できるようになりました。各アトラクションの乗車ゲートで、入園ゲートと同様に顔認証を行えば、瞬時に本人確認ができ、乗車できるしくみです。これも、チケットを出す必要がないとご好評いただいているとのことです。

また、再入園の際も顔認証で簡単に入園可能です。途中で周辺の観光スポットに足を延ばすという楽しみ方が手軽にできるようにもなり、「誰でも気軽に訪れることのできる、富士山観光のハブスポットのような存在をめざしたい」と斉藤氏は期待を寄せました。
わずか1秒程度で乗車可能。アトラクション乗車時は、チケットを出さなくても「顔パス」で乗車

入園の流れ

01
チケット窓口で入園券・フリーパスを入手
02
入園ゲートへ向かう
03
顔登録、そのまま入園

顔認証技術を分析ツールとしても活用したい

今後は顔認証技術の活用をさらに進め、エンターテインメントや飲食物販などの施策にも活かしたいと斉藤氏は語ります。

「例えば、お客様の園内での消費動向や滞在時間などで、満足度を定量的に測定し分析したいと考えています。お客様に喜んでいただけるアミューズメントパークとしてさらに発展していくために、顔認証技術をもっと活用していきたいですね」。

パナソニックISに相談してみる

当社担当からひとこと

前 康幸
顔認証システムの導入だけではなく、当社の豊富なチケッティングシステム導入経験を活かし、オペレーションの面でもご納得いただけるようなご提案ができたと考えております。
入園無料化と同時のリリースという非常にタイトなスケジュールでしたが、機能に優先順位を付けながらお客様と共に乗り越え、サービスインまでこぎつけました。
今後はデータ分析の段階に進み、富士急ハイランド様の更なる売上増に貢献できるようなご提案をさせていただきたいと思います。
取材︓2018年10月2日 
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