チケット・グッズ購入履歴からお客様の顔が見える
――具体的にはどのような施策に取り組んだのでしょうか。
奥永氏 来場者のデータをもとに、来場動向を分析しました。Jリーグには「JリーグID」という会員サービスがあり、試合チケットやグッズを購入できるようになっています。つまり、来場者のデータは既に貯まっていたんですね。ただし、実際どのようにアプローチすればよいのかが分からない状態でした。
パナソニックISと一緒に複数年の来場動向を見ていったところ、「昨シーズン来場された方が今シーズンは来場されない」というケースが多いことが分かりました。過去2年の間に来場しなくなった方が全IDの内6割を占めていたのです。そこで、シーズン跨ぎの離脱防止に取り組みました。
株式会社ガンバ大阪 顧客創造部 集客事業課 奥永 憲治 氏
――Jリーグは12月中旬~2月中旬までがシーズンオフですから、その間でお客様が離れないような施策を打ったということですね。どのようにアプローチしたのでしょうか?
奥永氏 例えばメールプロモーションです。これまでも行っていましたが、お客様を来場傾向ごとにセグメントに分け、それぞれに合った件名・文面のメールを送りました。「昨年開幕戦来場者」「監督就任試合来場者」「5回以上リピーター」といったセグメントです。
パナソニックISには、データに基づいたデジタルなアドバイスはもちろんのこと、どのような件名・文面がよいかというアナログな面でもアドバイスをもらいましたので、より丁寧なアプローチができたんじゃないかと思っています。イベントや企画ありきですが、より情報が伝わりやすいメールマーケティングを行うことで、2019年の平均入場者数前年比118%となり、クラブ最多平均入場者数を達成しました。
竹井氏 デジタルマーケティングの一番良いところは「お客様の顔が見える」という点にあると思います。チケットの購入履歴を分析することによって、お客様が何人連れで今季何回ご来場いただいているのか、どこの席を買われているのか、そういったものがすべてわかるようになり、次のアプローチに活用できるようになりました。