導線を考慮した自動券売機と着券ブースで
駅まで続いていた長蛇の列を解消。
「豊富な実績に即したアドバイスに安心感」

美しい自然と国内外の著名な野外彫刻を鑑賞しながら、家族や友人との有意義な時間を過ごせる彫刻の森美術館。2024年に開館55周年を迎え、記念企画展「舟越桂 森へ行く日」の開催や「森の足湯」をリニューアルオープンするなど、ますます魅力に磨きがかかっています。今回、開館55周年を機に、パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)の支援を得てチケッティングシステムを更新。その意図と今後の展望などについて伺いました。
導入のポイント
有人窓口の負担を減らすため自動券売機を導入し、駅前まで続いていた待機列を解消
経験豊富なパナソニックISがベンダーとして舵を取り、入場ゲートまでの最適な導線を実現
今後を見据えたシステム導入ができ、将来的な売上管理の一元化にも期待
課題
  • 休日は駅前まで伸びてしまう待機列をなくしたい

  • システムを自分たちだけで導入するには経験や知見が不足

  • チケット種別によって異なる非効率的な個別運用

解決
  • 自動券売機を導入し、長い待機列を解消

  • パナソニックISの経験・知見のもと、最適な導線を実現

  • 一元管理を見据えたシステム導入ができ、将来的な業務効率化に期待

繁忙期には駅前まで待機列が伸びてしまうことも

――チケッティングシステムの更新を行った背景をお聞かせください。

長沼氏 チケット売り場の窓口に並ぶ行列(待機列)をなくす取り組みが背景です。20人以上の待機列は日常茶飯事。来場者数が4,000人を超えることもある休日は、彫刻の森駅の方まで約200mの待機列ができることも珍しくなく、何らかの対策が必要な状況でした。
公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団 箱根運営部 部長 長沼 隆之 氏
――チケット売り場の窓口が混雑する理由は把握されていたのでしょうか。

長沼氏 まず、チケット売り場の窓口で対応する職員のリソースが不足していたことが挙げられます。箱根では慢性的な人手不足が町全体の課題となっており、当館においてもリソースの確保は容易ではありません。本来であれば窓口をもう1つ開けたいけれど、人手が足りずかなわないということも実際にありました。そもそも、有人窓口でしか当日チケットを販売できない状況も根本原因のひとつであったと言えます。

櫻井氏 実は待機列を解消すべく、コロナ禍以前からプレイガイド委託によるWebチケットを導入しています。事前購入できるWebチケットなら、チケット売り場の窓口に並ぶ必要はありません。割引もあることから好評を博しており、Webチケットを利用される方はかなり増えてきました。しかし、依然として窓口で当日チケットを購入される方が多いことに変わりはありません。とくにインバウンドで増加が著しい外国人観光客の方々は、Webチケットを利用することはほぼなく、窓口で購入されます。これも待機列をつくる要因になっていました。
公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団 箱根運営部 主任 櫻井 典子 氏

まずは自動券売機を設置。ただし将来的には売上を一元管理できるように

――混雑を緩和するために、どのような解決策を考えられたのでしょうか。

長沼氏 まずは自動券売機を設置することが混雑緩和の近道だと考えました。しかし、単純に自動券売機を設置するだけでは、別の課題が生じてきます。それは窓口の当日チケットを管理するPOSシステムとWebチケットを管理するプレイガイド、そして自動券売機の運用がバラバラになってしまうことです。POSシステムとWebチケットは連携しておらず、Webチケット予約サービスの売上表示を手入力でPOSシステムに打ち込んでいました。そこに自動券売機が加わると、売上管理がさらに煩雑になってしまいます。

理想はPOSシステム、Webチケット、自動券売機をひとつの基盤で一元管理できること。さらにその先の理想の姿は、ひとつの基盤でWebチケットの自社販売も行えることです。そこでまずは、一元管理できるシステムを検討することにした次第です。

パナソニックISの決め手は実績の豊富さと、現場に即した課題解決力

――一元管理できるシステムの比較・検討は行ったのでしょうか。

長沼氏 要件に近いシステムと思われる製品を展開する数社に声をかけ、ミーティングも実施しました。そのなかで、一元管理を実現できそうなシステムがSmart Helloでした。しかし、システムだけを考えるのであればメーカーから直接導入すれば良いですが、実際には自動券売機から入場口までの導線なども考慮しなければなりません。経験や知見がない我々だけでは、システム構築は容易ではないと感じていました。

ほかに当館に合うものを模索していたところ、たどり着いたのがパナソニックISのWebサイトです。サイトにはさまざまな集客施設の取り組み事例が掲載されており、課題に対しての解決策やそれに対する現場の方のコメントが印象的でした。そこでパナソニックISにチケット周りの現状を相談。最終的に提案いただいたのが、当館も検討したSmart Helloでした。

見解が一致したことに加え、Smart Helloを当館が直接導入するよりも、経験豊富なパナソニックISに舵を取っていただく体制がベストと判断。そこで今回はパナソニックISに依頼することにしました。

他施設の事例や導線に合わせたシステム構成に、経験豊富なベンダーならではの安心感

――本稼働までのプロセスを教えてください。

長沼氏 パナソニックISとは何度もミーティングを重ね、チケット周りの更新プランを詰めていきました。その間、Smart Helloを利用している文化施設の見学やデモデータを使った検証なども実施。そして、2024年8月1日の開館55周年を迎える前に、何とかチケット周りの更新を終えることができました。更新箇所はいくつもありますが、主要なところは以下の3つとなります。とくに来場者の導線にはこだわりました。

<自動券売機の設置>
Smart Hello搭載の自動券売機を3台製作しました。筐体のサイズや形などは当館とパナソニックISで協議しながら決めたオリジナル。パナソニックISからは他施設の筐体写真を参考に見せていただき、経験豊富なベンダーならではの安心感を感じました。また、Smart Helloは多言語対応・電子マネー対応と、機能面も申し分ありません。

設置場所は彫刻の森駅から歩いてきたとき、最初に目に入るところにしました。もともとはコインロッカーを設置していた場所で、コインロッカーはショップの入り口付近に移設しています。
自動券売機
<着券ブースの設置>
自動券売機で発行されたチケットは、入場の際に券面のQRコードを読み取って着券することとなります。ここで入念に検討したのが、自動券売機から入場ゲートまでの導線です。

パナソニックISには、着券場所の数や車いすの方の入場方法など、さまざまな条件を考慮した複数パターンの導線とそれに対応したシステム構成について、具体的な設置イメージを提示いただきながら一緒に考えていただきました。結果として「来場者が自動着券機(タブレット)にQRコードをかざす」さらに混雑時には「職員がチケットブースの外でもスマートフォン端末でQRコードを読み取る」という2段階の着券方法を用意するという結論に至ることができました。

次に着券ブースの設置方法が新たな課題となりました。職員の配置場所として小さな小屋を設置する必要があったのですが、プレハブでは建築基準法をクリアできなかったんですね。悩んでいたところ、建築基準法をクリアし、素早い工期で設置できるユニットハウスが見つかりました。これを着券ブースに活用していくにあたっても、お客様の導線とシステム構成についてパナソニックISのこれまでの経験から色々とアドバイスをいただけたのは大変助かりました。
混雑時は、自動着券機以外にスマートフォンでも着券可能
<レストラン&ショップの有料エリア化>
以前は有料エリアの美術館に入場しなくても、レストラン&ショップは誰でも利用することができました。しかし、レストラン&ショップを利用後、有料エリアに入る方がいらっしゃるため、職員がチケットを確認する作業が発生していました。そこで今回、チケットシステムの更新を機に、物理的な柵などを設置してレストラン&ショップを美術館の有料エリアに組み込むことにしました。これにより、職員の負担を軽減するとともに、管理しやすい環境を構築しました。

チケット周りの最適な運用を見据えた第一歩を踏み出せた

――現在の運用状況および今後の期待などをお聞かせください。

長沼氏 本稼働から1ヵ月と、まだスタートしたばかりの状況ですので、まずは徐々に自動発券機を運用していき、改善点が見つかれば随時改修していくイメージを考えています。Smart Helloは自動券売機だけでなく、有人窓口やWebチケットにも対応していますので、将来的にはシステムを一元管理することも可能。ただし、初めての取り組みなので、現場ではいつくかの課題も出ています。発券や着券の安定性の部分に多少の問題があったり、有料エリアになったことでの導線の問題などです。今後約2年間はチケット周りのブラッシュアップを続け、最適な運用方法を模索していきますが、さしあたっては良い第一歩を踏み出せたと考えています。

ここまで約1年間、一緒に取り組みを行ってきたなかで、我々の現場の雰囲気や課題・問題点なども理解できたのではないかと推測しますので、今後はより一層さまざまな提案や手厚い伴走支援に期待しています。引き続きよろしくお願いいたします。

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当社担当からひとこと

田中 弘行
彫刻の森美術館様は今年2024年に開館55周年を迎えられました。この節目に弊社としてチケットシステムの改修に携わらせていただけましたこと、感謝申し上げます。
また、今後もより多様化する環境やニーズに対応していくべく弊社の培ったノウハウをベースに共に解決していければと考えております。今後ともよろしくお願い申し上げます。
取材︓2024年8月20日 
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