他施設の事例や導線に合わせたシステム構成に、経験豊富なベンダーならではの安心感
――本稼働までのプロセスを教えてください。
長沼氏 パナソニックISとは何度もミーティングを重ね、チケット周りの更新プランを詰めていきました。その間、Smart Helloを利用している文化施設の見学やデモデータを使った検証なども実施。そして、2024年8月1日の開館55周年を迎える前に、何とかチケット周りの更新を終えることができました。更新箇所はいくつもありますが、主要なところは以下の3つとなります。とくに来場者の導線にはこだわりました。
<自動券売機の設置>
Smart Hello搭載の自動券売機を3台製作しました。筐体のサイズや形などは当館とパナソニックISで協議しながら決めたオリジナル。パナソニックISからは他施設の筐体写真を参考に見せていただき、経験豊富なベンダーならではの安心感を感じました。また、Smart Helloは多言語対応・電子マネー対応と、機能面も申し分ありません。
設置場所は彫刻の森駅から歩いてきたとき、最初に目に入るところにしました。もともとはコインロッカーを設置していた場所で、コインロッカーはショップの入り口付近に移設しています。
自動券売機
<着券ブースの設置>
自動券売機で発行されたチケットは、入場の際に券面のQRコードを読み取って着券することとなります。ここで入念に検討したのが、自動券売機から入場ゲートまでの導線です。
パナソニックISには、着券場所の数や車いすの方の入場方法など、さまざまな条件を考慮した複数パターンの導線とそれに対応したシステム構成について、具体的な設置イメージを提示いただきながら一緒に考えていただきました。結果として「来場者が自動着券機(タブレット)にQRコードをかざす」さらに混雑時には「職員がチケットブースの外でもスマートフォン端末でQRコードを読み取る」という2段階の着券方法を用意するという結論に至ることができました。
次に着券ブースの設置方法が新たな課題となりました。職員の配置場所として小さな小屋を設置する必要があったのですが、プレハブでは建築基準法をクリアできなかったんですね。悩んでいたところ、建築基準法をクリアし、素早い工期で設置できるユニットハウスが見つかりました。これを着券ブースに活用していくにあたっても、お客様の導線とシステム構成についてパナソニックISのこれまでの経験から色々とアドバイスをいただけたのは大変助かりました。
混雑時は、自動着券機以外にスマートフォンでも着券可能
<レストラン&ショップの有料エリア化>
以前は有料エリアの美術館に入場しなくても、レストラン&ショップは誰でも利用することができました。しかし、レストラン&ショップを利用後、有料エリアに入る方がいらっしゃるため、職員がチケットを確認する作業が発生していました。そこで今回、チケットシステムの更新を機に、物理的な柵などを設置してレストラン&ショップを美術館の有料エリアに組み込むことにしました。これにより、職員の負担を軽減するとともに、管理しやすい環境を構築しました。