一日最高約3,000人分の年間パスポートをスムーズに当日発行
チケッティングシステムにとどまらない、広範囲にわたる情報システムの構築。最も腐心したのは、業務の流れを共有しながらシステムの全体像を練り上げていく作業でした。室氏は次のように振り返ります。
「システム化が逆に業務の硬直を招くこともありますから、スタッフ各部門の要望を正しくくみ取りつつ、どこまでをシステム化するか判断していきました。パナソニックISにもこちらの業務内容まで踏み込んで理解してもらい、プロジェクトの舵取りをお願いしました。その辺りはよく応えてもらって、信頼感を築けていけたと思います」。
オープンを2ヵ月後に控えた2012年1月より、パナソニックISは京都水族館内にヘルプデスクを設置。共通無線をお借りし、スタッフの方々から要請があればすぐ駆け付ける態勢を整えました。
「あれが本当に一番心強かったです。お互いに我が事として作り上げていくような一体感がありがたかったですね」(室氏)。
そして全国からの注目が高まる中、2012年3月14日に京都水族館がオープン。その年間パスポートは大人気となり、一日に最高で約3,000枚を売り上げるほどに。予想だにしなかったこの枚数ですが、そのすべてを当日中に発行しお客さまにお渡しできたといいます。室氏はこのキャパシティに「少し感動を覚えました」と笑顔を見せました。
さらに初めて迎えたゴールデンウィークは、9日間で約14万5千人の来場者数を記録。ピークの日は2万4千人の方がお越しになりましたが、トラブルもなく無事乗り越えることができました。
「我々運営スタッフは、オペレーターの皆さんにシステムという重要なツールを渡して現場へ送り出すわけです。オペレーターの皆さんをサポートするため、そして何よりお客さまにご迷惑をおかけしないためにも、安定性のあるシステムが大事なのだと実感しましたね」とシステムの重要性を語る室氏。その表情には自信がにじみ出ていました。