ローカルのNASが情報共有のボトルネックに
――Boxを導入した背景をお聞かせください。
大島氏 各事業所、工事事務所では、データの保存先がローカルのNAS(Network Attached Storage)となっており、この環境が情報共有や業務効率の面で大きな課題となっていました。NASには、着工から竣工までの図面や申請書類、原価管理書類など、あらゆるデータが保存されていました。もっとも多いのは品質管理のエビデンスとなる写真データで、そのほかPDFやExcel、Word、CADのデータも多数あります。
安田氏 NASの課題は、他拠点からのアクセスが困難という点です。設計変更の図面を本社で確認したい場合も、現場に行くか担当者からメールなどで送ってもらう必要がありました。また、施工写真の確認や進捗報告も現場からの送信に頼っており、リアルタイム性に欠けていました。
さらに、現場・本社・協力会社など複数の拠点や関係者間で情報が分散し、個人のPCやメール、紙資料に依存する場面も多く、必要な情報をすぐに見つけられないという課題もありました。特に、現場所長の高齢化が進む中で、次世代を担う社員への引継ぎが急務となる一方、どこに何のファイルがあるのかを把握するのが困難で、過去の類似案件の図面や契約書、施工記録などの再利用が難しいという声も上がっていました。
株式会社松村組 執行役員 建設本部 副本部長 兼 DX推進担当 安田 和弘 氏
大島氏 RAIDで冗長化しているとはいえ、NASは安定稼働という点でも不安があります。とくに工事事務所は、サーバルームのように温度管理がなされているクリーンな環境ではありません。故障の不安も拭えず、事業継続性に影響を及ぼしかねない状況でした。これらの課題を解決するため、すべてのNASを撤廃し、Boxで一元管理を行うことにしました。