ASTERIA Warpを導入
SAP ERPと周辺システムを効率的に連携

2012年、株式会社島津製作所様(以下、島津製作所)は、グローバル展開をより効率的に進めるため人事システムの刷新を目指し、SAP ERPの人事システムを中心としたシステムの構築をスタートしました。情報システム部とITシステム関連のグループ会社である株式会社島津ビジネスシステムズ様(以下、SBS)は、経理システムなどの周辺システムと人事情報を連携する基盤として、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(以下、パナソニックIS)の提案するデータ連携ミドルウェア「ASTERIA Warp」を採用、システム間データ連携の構築と見える化に著しい効果をあげました。
課題
  • 効率的な連携の実現

  • 連携の見える化

解決
  • 開発・テストにかかる時間を大幅に短縮

  • データ連携の見える化を実現

効率的な連携の実現

今回のSAP ERP人事システムの導入に当たっては、SAPと周辺システムとの情報連携が課題となりました。島津製作所 業務システム統括部 インフラグループ 課長の前田 裕司氏は、「100システム近い連携が存在しており、個別にシステム連携を開発する工数はありませんでした」とデータ連携ミドルウェア(EAIツール)の導入検討に至る経緯を語ります。また各システムの個別改修を避けるため、データの種類・形式などのインターフェースを現行の形式に合わせる必要があり、EAIツールでのデータ変換も必須でした。

この状況を踏まえてその候補となったツールは、「SAP ERP専用のデータ連携ミドルウェア」と、パナソニックISが提案した「ASTERIA Warp」の2つでした。
株式会社島津製作所
業務システム統括部 インフラグループ 課長
前田 裕司 氏

実は専用のミドルウェアのほうが工数や費用は低く見込まれていたとのことですが、その中でASTERIA Warpでの構築を決めた理由を、SBS システムビジネスユニット 基盤技術部の今村 英之氏は、「専用のミドルウェアを使うには専門性が必要であるためブラックボックス化する懸念がありました。一方でグラフィカルなインターフェースで簡単に扱えるASTERIA Warpは内作も可能であり、汎用性・機能面といった点でも今後の応用が利くと考えました」と言います。
株式会社島津ビジネスシステムズ
システムビジネスユニット 基盤技術部
今村 英之 氏

島津製作所 業務システム統括部 情報システム部 部長の永野 克己氏も、「ASTERIA Warpは以前から連携ツールとして注目をしており社内でも一部導入をしていました。しかし、その利用はExcelなどの一部機能にとどまっていました。この機会に使い込んでいきたいという考えはありました」と思いを語ります。

パナソニックISはASTERIA Warpのご支援を以前より行っており、「担当SEの導入実績や知識というところに安心感がありました」(前田氏)と評価をいただき、今回のご支援をすることとなりました。
株式会社島津製作所
業務システム統括部 情報システム部 部長
永野 克己 氏

開発・テストにかかる時間を大幅に短縮

2012年1月から1年8ヵ月にわたるSAPの導入プロジェクトにおいて、ASTERIA Warpは6ヵ月かけて設計・開発・テストが実施されました。SBS システムビジネスユニット システム運用部 部長の秋岡 良雄氏は、「設計の遅れに加えて完成時期をずらすことができない状況だったので、開発やテストなどで現場には負荷がかかっていました」とプロジェクトとしての苦労を語ります。

そのような中でASTERIA Warpの導入効果について、SBS システムビジネスユニット システム運用部 グループリーダーの竹内 伸也氏は、「パナソニックISの技術支援を得ながら連携パターンを分類し部品化したことで、テスト工程が大幅に簡略化できました。特に周辺システムからSAP ERPへのデータ連携部分における、工数削減は顕著でした」と語ります。
株式会社島津ビジネスシステムズ
システムビジネスユニット システム運用部 部長
秋岡 良雄 氏

ASTERIA Warpの機能でどこまでの要件をカバーするのか、その判断が難しかったとのことですが、「システムに依存する要件はシステム側に寄せ、 ASTERIA Warpの役割はコード変換とマッピングに絞るというシンプルな形を通しました。これにより連携の構造がシンプルになり、開発やテストの効率性を上げることができました」(今村氏)とのこと。本番稼働後のデータ連携動作について、竹内氏は「ログ出力など軽微な修正は行いましたが、現在安定した稼働が続いています。仮想サーバで運用していますが、パフォーマンスの問題もありません」と手ごたえを語ります。
株式会社島津ビジネスシステムズ
システムビジネスユニット システム運用部 グループリーダー
竹内 伸也 氏

データ連携の見える化を実現

また、データ連携をASTERIA Warpに固めたことの効果について前田氏は、「すべての連携がASTERIA Warpを通ることにより、連携処理が大幅に見える化しました。システム担当者による属人化を防ぐ意味もあり、今後の運用管理面でも大きな効果をもたらすと思います」と期待を寄せている様子でした。
今回は人事情報の連携が主な対象でしたが、これについて永野氏は、「データ連携ごとに費用をかけて構築することは終わりにしたい。既存システムの連携切り替えは難しい部分もありますが、今回の構築を成功事例として違った種類のデータ連携や子会社への展開などを進めていきたい」と展望を語ります。

前田氏は、「ASTERIA Warpは、大規模なデータ連携では機能面で弱いところがあるように感じます。今後さまざまな場面で展開するにあたり、機能面の強化や使い方の提案をいただければと思います」と、ツールやパナソニックISに対する期待感を示されました。

パナソニックISは今後も経験と技術力を基に、島津製作所様の業務効率化と事業拡大に貢献を続けてまいります。

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当社担当からひとこと

秋山 登
今回のASTERIA Warp本格導入にあたっては、「自分たちで技術を習得して自分たちで運用する」という島津製作所様らしい意気込みを強く感じながらお仕事をさせていただきました。ASTERIA Warpの製品としての機能や当社の持つ豊富なノウハウも島津製作所様にスムーズに引き出していただけたと感じています。今後は全社データ連携基盤への展開に向けて、当社の持つノウハウや使いこなし提案でご支援させていただきたいと考えております。
取材︓2013年11月14日 
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