工場IoTソリューションを導入
柔軟なデータ基盤で生産現場の情報を可視化

朝日インテック株式会社(以下、朝日インテック)では、スマートファクトリーに向けた取り組みとして「現場に改善アクションを促すことのできるデータ基盤の構築」を検討。エッジコンピューティングを活用し、センサーデータや基幹システムのデータなどどのようなデータでも取り込め、いかようにも加工できる柔軟なデータ基盤を構築することで、生産現場での情報見える化を進められております。ソリューション提案とシステム構築を担当したのは、パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)です。
課題
  • スマートファクトリー実現に向け、改善アクションを促せるデータ基盤を構築したい

  • データ基盤には高い柔軟性を持たせたい

解決
  • センサーデータも合理的に蓄積・処理してBIツールに流せるデータ基盤を構築

  • 計算しなければ出せなかった値も、生産現場で一目で見られるようになった

IoTといえど人間のアクションが不可欠

スマートファクトリーは大きな期待を集めつつも、いまだ各企業が手探りの状態にあるのが現状です。朝日インテックもそうした企業のひとつでしたが、調査を進めるうちに「現場に改善アクションを促すことのできるデータ基盤を構築する」というコンセプトに行きついた、とグローバル本社・R&Dセンター 技術改善室 主幹の山田和敬氏は語ります。

「IoT導入の目的は突き詰めるとQCDの改善しかありません。改善するには、最終的に現場の人間のアクションが不可欠となるので、アクションを促すためにはどのようなデータを集め、どのような情報を見せるべきか?という考え方で進めることとしました」。

それまでのデータ管理は品質保証のエビデンスという目的に留まっており、不良解析やスペック管理までは活用できていませんでした。技術改善室 加工技術開発チーム チームリーダーの安倍由晴氏は「製造記録やロット情報を紙で保管しているだけで、二次活用を想定したデータにはなっていませんでした。これらの電子化に加え、生産設備のセンサーデータとの関連付けも必要だと考えていました」と振り返ります。
朝日インテック株式会社
グローバル本社・R&Dセンター 技術改善室
主幹 山田 和敬 氏

集めるだけデータを集め、ニーズに合わせ加工

得られるデータは生産管理システムのデータや温度センサーのデータなど工程によってさまざま。同様に、現場が知りたい情報も工程ごとに異なります。そのため、データ基盤の柔軟性には非常にこだわったといいます。

「どんなデータでも取り込めて、いかようにも加工できる基盤を目指しました。目的に応じてデータを取るというスキームとは全く逆で、まずは集めるだけデータを集め、後から現場のニーズに合った形に加工するという方針に決めました」(山田氏)。 情報蓄積として最も一般的なのはRDB。ですが「取れるだけデータを取る」をRDBで実現するのは限界があると安倍氏は感じていました。

「データの種類が多岐に渡る上、将来的に変更が生じる可能性も十分ありますが、RDBはこうした状況には適していません。にも関わらず、選定当時はRDBを前提とした提案がほとんどだったのですが、パナソニックISに相談したところ我々の方向性と合致する回答が返ってきたのです。これなら我々の取り組みをサポートしてもらえそうだと、お願いすることにしました」。
朝日インテック株式会社
グローバル本社・R&Dセンター 技術改善室 加工技術開発チーム チームリーダー
安倍 由晴 氏

製造工程のピラミッドに合わせ、エッジコンピューティングの構造に

データ基盤の構築にあたっては、検討当初より「エッジコンピューティング技術を有効に使い実現する」という構想があったといいます。

「製造工程は下位工程で作った物が上位工程の部品になるというピラミッド構造になっています。下位工程では数ミリ~数十ミリ秒の細かな粒度のデータが必要でも、上位工程では要点をまとめた粒度の低い情報で十分だろうと。そうすれば膨大なデータも合理的に蓄積・処理できます。そこで、サーバ層/エッジ層/デバイス層の3層構造を工程ごとに作り、エッジ層でデータを加工・集約し、サーバ層にはデータではなく情報を渡すというコンセプトにしました」(山田氏)。

パナソニックISの提案により、エッジ層での構築を実現

こうしたコンセプトにもとづき、中心機能となる「データ収集」「データ交換」「情報表示」機能をエッジ層に置くことに。ここでデータ交換機能が必要になる理由は、生産現場には生産計画・実績といった構造化データもあれば、センサーデータや作業完了記録のような非構造化データもあるためです。データを活用するためにITツールを使うには、構造化データへの変換が不可欠となるのです。

エッジ層に置けるツールというのはなかなか世に出ていないのですが、今回パナソニックISの提案により実現してもらったというのは非常に大きいところでした。データ交換機能にはEAIツール『ASTERIA Warp』、情報表示機能にはBIツール『MotionBoard』を採用しました」(山田氏)。

従来は出せなかった値も一目で見られるように

まずは国内工場の1工程に適用し、生産管理データのほか、温度・圧力・仕上がりの寸法値などのデータを収集・変換。生産現場のPC上で情報を見える化しています。

「作業者向けに設備の稼働状況や製造結果を1画面で表示する画面と、管理者向けに予実差異を表示する画面の2画面構成にしてもらいました。データを内部処理することによって、単なるPLCのタッチパネルでは出せない値が一目で見られるようになりました。現場側にも手ごたえを感じてもらえたのか、次工程や、作業完了の目標時間を見えるようにしてほしいと要望が上がってきています」(安倍氏)。

センサーデータの粒度最適化にもASTERIA Warpが役立ったと安倍氏は語ります。

「センサーデータを細かく収集していくと膨大な量になって性能を圧迫するので、必要性を見極めていかに粒度を最適化するかも試行錯誤したのですが、GUIベースで簡単に変換フローを作成できるASTERIA Warpには助けられましたね」。

他拠点へ展開し、拠点間で工程比較

今回の取り組みは現場だけでなく経営層からも期待が寄せられており、今回適用した工程について、他拠点でも見える化して比較したいという声が出ているそうです。「当社の主力生産拠点である海外3工場へも横展開したいと。現状は拠点間の差がどれだけあるかも不明瞭なので、経営管理面で一定の効果を得られるはずです。続いて、他の工程への展開や表示画面の高機能化もしていきたいですね。現場の視点と経営層の視点の2側面をいかにキャッチアップしていくかが重要だと考えています」(山田氏)。

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当社担当からひとこと

作本 直樹
朝日インテック様におけるスマートファクトリーの取組みにおいて、現場で発生データを集め、蓄積し、可視化、活用するというモノづくりの現場に主眼をおいたデータ基盤を構築しました。この基盤では、発生したデータを情報視点(IT)、業務視点(OT)から現場改善につなげる活用を実現できるモデルになると考えています。この導入されたデータ基盤により、他拠点展開や拠点間比較など更なるデータ基盤の発展へ支援を継続させて頂きたいと思います。
取材︓2019年5月31日 
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