将来の完全BYOD化まで見据えた環境を実現
学生発の新しい研究も生まれており更なる提案に期待

2018年に情報科学部を新設した広島大学では、学内の端末の老朽化を解消すると共に、学部内の端末を刷新するために、補正予算を活用した調達を実施。落札を果たしたパナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)のサポートを受けながら、グラフィックボード(GPU)付ノートパソコン、VRゴーグル、USBハブなどの端末の調達と、新たなネットワークの構築を実現させました。
導入のポイント
既存の設備を流用できるようコスト面にも配慮した柔軟な提案力
安心して環境構築を任せられる高度な問題解決能力・知見を高く評価
水準以上の機器選定と高い構築力、優れたコストパフォーマンスによるリプレース
課題
  •  パソコンの必携化やコロナ禍を経験し端末教室のあり方を検討
  •  教育支援や災害復旧を目的とした文科省の補正予算の活用
  •  世界的な半導体不足の中でも納期に対応できる調達先の確保
解決
  • レガシーを今後も有効活用できるようコストを抑えた柔軟な提案
  • 高性能な機器を導入したことで新たな着想による研究も
  • メーカーに直接交渉して期限内にパソコンを調達

GPU付パソコン・VRゴーグル・USBハブを112セット導入・活用

――パナソニックISが調達した端末について教えてください。

西村氏 「デジタル教材対応教育用情報端末システム」を構築するため、「GPU付ノートパソコン・VRゴーグル・USBハブ」を112セット。その他、各端末をネットブートシステム上で使うための通信用のコアスイッチ、端末室スイッチ、ネットブート用サーバー、仮想基盤サーバー、UPSなどをトータルパッケージとして導入しています。
調達した端末は、東広島キャンパス内にある「情報メディア教育研究センター」の端末室に設置。情報科学部の学生たちだけでなく、東広島キャンパス内の学部生、大学院生たちも活用できるようになっています。

GPUが付いているので、UnityやCADのようなグラフィック機能を使うツールや、Mathematicaのような高度な数式処理を必要とするソフトウェアを用いた授業や研究で、主に使われています。
広島大学 副学長(情報担当)/財務・総務室情報部長 情報メディア教育研究センター教授 西村 浩二 氏

補正予算を上手く活用して新たな端末教室のあり方を検討

――導入の経緯を教えてください。

松川氏 本学では、2010年頃に1000台を超えるパソコンを導入し、教室だけでなく、図書館やオープンスペースにも設置して、広く活用していました。それから10年以上が経過し、新たな端末教室のあり方を検討する必要性を感じたのがきっかけです。
そんな折、コロナ禍による教育費支援や災害復旧を目的とした文部科学省の「第3次補正予算」が策定されました。そこで本学でもこの補正予算を活用して、新たな端末とその利活用方法を検討することとなったのです。導入の要件として「VRを用いた実験・実習を導入」という項目があったので、「VRゴーグル」と「GPU付ノートパソコン」のセットを必須条件に官報告示する流れとなりました。

ちなみに調達台数は100台強を想定。2010年に導入した台数と比べるとかなり少ないのですが、これは2015年に本学で「パソコンの必携化」が決まったためです。今後、学内にパソコンを設置する必要性が減ってくることが想定されることから、この台数となりました。しかし当時は、世界的な半導体不足。色々な企業様と相談させていただいたのですが、100台強程度ですら調達が難しいとの返答でした。そんな中、尽力してくださったのがパナソニックISの営業の方だったのです。

こちらからの提案もあって、メーカーと細かくやり取りしていただき、上手く調達の算段を付けていただけたようで、無事、入札の運びとなりました。
広島大学 財務・総務室 情報部 情報化推進グループ 専門職員 松川 正義 氏

初のやり取りながらトラブルなくスムーズに環境構築は完了

――環境構築はスムーズに進みましたか?

西村氏 はい。大きなトラブルなく環境は構築できました。
ただ今回は端末の更新だけでなく、ネットワーク周りの更新があった上、初めてのパナソニックISさんとのやり取りということで、既存の設定を改めて調査・把握するという部分で、多少の手間がかかりました。

そのためパナソニックISの技術担当の方には、直接ネットワークの状態や設定を見ていただくために何度も現地に足を運んでいただきました。コロナ禍で、学内に入るだけでも面倒な手続きが必要だった中、非常にフットワーク軽く対応していただけたのは大変ありがたかったです。
その後も打ち合わせを2週間に1回くらいの頻度で行いながら構築を進め、2022年4月の授業スタートには、一通りの構築作業はすべて終わらせることができました。

広島大学 技術センター 共通機器部門  情報基盤機器管理班 技術主任 松岡 大夢 氏

パナソニックISの技術担当者・営業担当者に対する評価

――改めてパナソニックISの技術担当に対する評価を教えてください。

松川氏 一緒に環境構築していく中で、高い「問題解決能力」と「知識」を持っていらっしゃることが分かって、安心感を持って構築をお任せすることができました。

運用スタート直後、一度だけ導入した端末の約半数が起動しないというトラブルがありましたが、金曜日の夕方からリモートでご対応いただき、無事に土曜日の授業に間に合わせることができました。恐らく勤務時間外だったと思いますが、臨機応変に対応していただけてありがたかったです。

また途中で担当者が別の方に代わったのですが引継ぎは完璧で、新しい担当者の方も、構築時の情報をしっかり把握していらっしゃいました。会社として、とても信頼感を持つことができました。

――営業担当に対する評価も教えてください。
 親しみやすくてコミュニケーションが取りやすいところ、また機材調達が大変な中しっかり集めてくださる手腕を持っていらっしゃるところは、やり取りする中で感じた良さです。

連絡するとすぐに対応してくれる点もありがたいですね。導入するパソコンが、本学のネットブートシステムに対応しているかデモ機で検証したいと相談した際も、「用意します」ではなく、「デモ機を送りました」という
スピード感ある返信だったので、大変驚いたことを覚えています。

新端末導入で得られたふたつの導入効果とは

――新たな端末が導入できて良かったと思えた点を教えてください。

●レガシーを有効活用できる

松岡氏 パナソニックISさんのご提案で、導入端末は「VRゴーグル」と「GPU付ノートパソコン」に加えて、「USBハブ」も含めたセットになりました。これがあることで、元々端末室にあったモニターやキーボード、マウスを有効活用できるだけでなく、充電することも可能な教室環境になりました。将来的に、今回調達した端末がすべてなくなり、必携パソコンだけになっても、端末室のレガシーをずっと使いまわせる。そんな「教室の未来」まで見据えた環境を作ることができたのは、導入して良かったことのひとつです。

●新しい着想で研究する学生が出てきた

西村氏 近年、情報科学部の4年生が自らの研究で「プログラムの動き」をVR上で可視化したツールを作りました。具体的には、机の上に置かれている数字の書かれた紙が、条件を変えることで「ソート(並び替え)」される様子を、3D CGで表現するというもの。2年生に実際に使ってもらって、プログラムの教育ツールとして分かりやすいと好評を得ていました。

こうした新たな着想による研究が生まれて、実際に「やってみよう」と動き出せたのは、端末にVR機能やGPUが付いていたことが、大きな理由のひとつ。大学としては嬉しい効果だと考えています。

「未来の教室の在り方」を提案してくれることに期待

――今後の展望を教えてください。

西村氏 これはまだ構想段階ですが、色々な国から参加してきた学生たちの発言を「自動翻訳」する機能を搭載した「メタバース」での授業ができないかと考えています。オンライン授業を海外の大学と一緒にやっていこうという流れもあるので、そうした場を作ることで「言葉の壁」をなくせると良いですね。とは言え業者の方に話を聞くと、かなりお金が掛かるようなので、現時点ではどこまで実現できるかは未確定です。ただ本学としては、そんな「メタバース」授業を始めとした、「未来の教室の在り方」について、常に考えて行く必要があると考えています。

パナソニックISさんには、ぜひUSBハブの提案をしてくださったように、さらに一歩先、二歩先を見据えた「未来の教室の在り方」に対する提案を期待しています。

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当社担当からひとこと

真田 実
広島大学様では、すでにBYoDでの利用環境が推進されていた事もあり、PC教室の提案でありながら共存を意識した提案を行う必要があると考え、本構成での提案となりました。半導体不足が叫ばれる時期だったこともあり、機器選定や調達に関してはかなり大変な思いをしましたが、無事本番稼働を迎えることができ、嬉しく思っております。今後も広島大学様の教育カリキュラムやその方針に寄り添った運用の支援やシステムの提案ができればと考えております。
取材︓2025年1月29日 
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