総合大学において初となるAVD+新VDIソリューションにより
自由度の高い学習環境を実現

「学びたい者に学ばせたい」という信念をもとに、医学から芸術まで学ぶことができる日本屈指の総合大学、近畿大学。世界で初めてクロマグロの完全養殖を成功させたことでも知られています。同学は時間や場所を問わずいつでもどこでも学習できるオンライン学習の実現とPC教室の在り方を見直した新しい学習環境の構築を目指し、総合大学としては初の試みとなるAVD※+Accops HyLabsによるVDIソリューションを2025年4月から本稼働させています。
※AVD(Azure Virtual Desktop)・・・Microsoft 社が提供する仮想デスクトップサービス
導入のポイント
新しい教育環境を担う基盤としてAVD+Accops HyLabsで学びのDXを推進
リソース最適化とアクセス制御により必要最小限のAVDリソース環境を構築
BYODを中心に据えて時間・場所を問わずに学べる環境を実現
課題
  •  キャンパスに登校しなくても受講できるオンライン環境が必要
  •  VDIによるオンライン学習を検討するもAVD単体では困難
  •  全キャンパス合わせて約4,200台のPCの存在意義について検討
解決
  • 時間や場所を問わないオンライン学習を実現
  • AVDとAccops HyLabsの組み合わせがさまざまな課題を解決
  • オンライン学習・BYOD化が進みPC削減にも着手

キャンパスに縛られないオンライン学習環境の整備に
迫られる

――Accops HyLabs導入のきっかけをお聞かせください。

池田氏 2020年、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、対面の授業が一時的にストップしてしまったことがきっかけとなります。当時はキャンパスに足を運ぶこともできなかったため、キャンパスに縛られない学習環境を早急に整備する必要がありました。

そこで、従来の対面に加え、デジタル化されたコンテンツを利用できるオンライン学習を組み合わせ、学生自身が主体的に学び方を選択できる仕組みの構築に着手。学生に対しては、2022年度からPCの必携化を推進し、2025年度にはすべての学部がBYOD(Bring Your Own Device)のPCを持つ状況となりました。当学におけるオンライン学習環境については、時間や場所を問わずいつでもどこでも学習できる環境、安全かつ自由にアクセスできる環境を前提に、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)の導入が適切と判断しました。

VDIの導入はPC教室の見直しを促進することになりました。当学は6キャンパスそれぞれにPC教室があり、合計約4,200台のPCを設置しています。これらPCの維持・管理には、毎年かなりのコストと職員への負担がかかっていました。しかも、定期的なPCの更新が必要になるため、常にどこかのPC教室のPCを入れ替えている状況。コスト面・管理面からPCを削減したいと考えていましたが、PCを使った授業や自主学習での必要性を考えると、PCの削減はできませんでした。

しかし、オンライン学習が授業形態のひとつに加わる場合、PC教室の在り方が変わります。学生が所有するBYODでオンライン学習や自主学習が可能になりますから、約4,200台ものPCは不要。 VDIの導入を推進することが得策でした。
学校法人近畿大学 経営戦略本部 デジタル戦略室 室長 池田 勝 氏

AVDだけではシラバスとの連携やアクセス制御が困難

――VDI製品の比較・検討はされましたか。

横井氏 VDIの製品は数多くありますが、トライアルなどを通じて導入の決断に傾いていたのはAVD(Azure Virtual Desktop)です。ただし、AVD単体で利用する場合、教育機関にはハードルが高いという課題がありました。

例えば、シラバス(履修情報)との連携、アクセス制御、アプリケーションのライセンス管理などは、AVD単体で行うことが困難です。また、AVDのコントロールプレーンという管理コンポーネントにも懸念がありました。AVDへの接続にも関わるコントロールプレーンは、難易度が高い複雑なインターフェースのため、学生に負担を強いる可能性が高く、AVDの導入は慎重にならざるを得ませんでした。しかし、教育機関向けVDIソリューション Accops Hylabs に出会ったことで、VDI導入の取り組みは大きく進展しました。
学校法人近畿大学 経営戦略本部 デジタル戦略室 主任 横井 隼人氏

教育機関向けの機能がパッケージ化されている
Accops HyLabs

――Accops HyLabsの導入を決めた理由をお聞かせください。

横井氏 AVDにAccops HyLabsを組み合わせれば、さまざまな課題を解決できることが分かりました。もちろん、教育機関に必要な機能の開発をベンダーにお願いすれば解決できたかもしれませんが、開発に要するコストや時間が不透明。おそらく大きな負担があると思われます。その点、Accops HyLabsは最初から教育機関向けの機能がパッケージ化されており、そのまま利用することができます。ですから、導入に迷うことはありませんでした。そのAccops HyLabsの機能で、とくに評価したのは以下の点です。

<シラバスと連携できる>
シラバスと連携して事前予約が可能。これにより、AVDの仮想マシンを計画的に確保することができます。また、利用者以外のアクセスを制御でできるため、ネットワークに余計な負荷かけることなく、常に安定稼働させることが可能です。

<アプリケーションのライセンスを管理できる>
有償のアプリケーションは、Accops HyLabsが稼働状況を把握し、適切なライセンス管理を行ってくれます。

<リソースコストを削減できる>
事前予約した利用者のみにAVDの仮想マシンを割り当てるリソース制御により、利用時以外は自動的に電源OFFとなります。絶えずAVDを起動させておく必要がないため、余計なコストを削減できます。

<使いやすい個別最適なインターフェース>
Accops HyLabsは個別最適化されたインターフェースが採用されており、操作に迷うことはありません。学生に余計な負担を強いる心配もないと判断しました。

<Linuxにも接続できる>
WSL(Windows Subsystem for Linux)でLinuxを動作させることが難しかったため、Microsoft Azure上にLinux環境を構築。その際、Accops HyLabsからAVDにもLinuxにも簡単に接続することができます。

――Accops HyLabsの導入プロセスをお聞かせください。
池田氏 2022年度から取り組みがスタートし、2023年からAVDのトライアルを開始しました。2024年にはAccops HyLabsのトライアルが始まり、2025年4月からAVD+Accops HyLabsが本稼働しています。Accops HyLabsのライセンスは、6つのキャンパスの全学生を対象に多数の学生が同時にAccops HyLabsへアクセスできるライセンスとなります。

見えてきた課題解決、
データを残さないセキュアな環境も実現

――Accops HyLabsに対する評価をお願いします。

堀井氏 課題については、着実に解決に向かっています。導入して間もないため、導入コストの回収には若干の時間はかかるかと思いますが、PC教室の維持・管理コストや職員コストなどはすでに削減効果が見え始めています。この他、以下の点を高く評価しました。

<学びの選択肢の拡大>
PCやタブレットなどのデバイスを通じ、時間や場所を問わず学習できる環境を構築したことで、学生は学び方の選択肢が広がりました。PC教室が授業で埋まっていても、BYODで自由利用予約することで、教室と同等の環境を利用することができます。また、デバイスへのインストールや追加設定が不要という点も、運用における大きなメリットとなっています。

<セキュアな環境を実現>
デバイスは持ち運ぶことが多いため、常に紛失の危険性がつきまといます。しかし、今回構築したのはVDIの環境ですから、学生のデバイスにはデータが残りません。セキュリティ面を考えた場合、これは大きなプラスになると考えています。

<PC教室の削減>
オンライン学習環境が本稼働し、PC教室およびPCの削減に取り組むことが可能になりました。例えば近々のところでは、東大阪キャンパスが設置する約2,600台のPCが2025年9月には約600台になる予定です。ただし、アプリベンダーからVDI対応済といわれていたが、検証すると対応してなかったアプリケーションへの対応や、国家資格などのCBT(Computer Based Testing)試験に対応するため、フィジカルなPCをゼロにすることはできません。一部のPCは残しながら、可能な限り削減に取り組んでいくつもりです。

学校法人近畿大学 大学運営本部 KUDOS学生センター 課長補佐 堀井 吾朗 氏

AVD+Accops HyLabsには
新しい教育環境を担う基盤として期待

――今後の展開とパナソニック インフォメーションシステムズへの期待をお願いします。

堀井氏 AVD+Accops HyLabsによるVDIのオンライン学習環境は、当学のような総合大学においては初の試みとパナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)から伺っています。まずはそういった最先端のDXにチャレンジできたことを嬉しく思っております。今後については、まずAccops HyLabsによって削減が見込めるコストは、さらなる学習環境の整備などに投資できればと考えています。また、Accops HyLabsの利用状況を可視化する取り組みも検討しています。可視化できれば、データ分析などによって教育の質や学生サービスの向上につなげられるはずですから。

AVD+Accops HyLabsのオンライン学習は、当学の新しい教育環境を担う基盤として非常に期待しています。まだまだ改善を要するところもあるため、Accops HyLabsを提供しているパナソニックISには大いに期待しております。引き続き手厚いご支援を希望していますので、今後ともよろしくお願いいたします。

NTT西日本株式会社からのコメント

NTT西日本株式会社 エンタープライズビジネス営業部 文教営業部長 冨永 隆様

お客さまが学生PC必携化後のPC教室のあり方やオンライン学習環境の充実について検討を進められる中、仮想デスクトップによる共通の学習環境を全学生に提供したいとのご要望にお応えできるソリューションとしてAccops HyLabsに注目し、多くの導入実績を持たれているパナソニックIS様にお声がけをさせていただきました。

クラウドを利用した仮想デスクトップサービスであるAVD (Azure Virtual Desktop) のリソースを全学生に直接割り当てると高額な利用料が発生することになりますが、Accops HyLabsの特長である予約管理・リソース管理機能によってリソースを抑えながらAVDを授業や自習で快適にご利用可能になり、お客さまから高い評価をいただくことができました。

3万人以上の学生が利用する大規模なAVDの予約管理を実現するという前例のないシステムにおいて、
パナソニックIS様にはご提案から構築、運用保守に至るまで、パートナーとして協業いただきました。
AVDの急な仕様変更や想定外のトラブル発生など様々な課題への対応や、製品への機能追加要望を開発サイドに粘り強く交渉いただくなど丁寧に対応いただきました。

引き続きお客さまに寄り添ったきめ細かいサポートと技術支援に期待しております。

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当社担当からひとこと

真田 実
近畿大学様がBYODの推進やVDIの導入などの検討を進められる中で、Azureへの対応やシラバス連携の機能をご評価いただき、当社へご相談いただきました。クラウドのリソース調整やシラバス連携の大量処理など、全国6拠点を構える総合大学の規模へ対応する大変さはありましたが、ご利用いただける環境を提供でき、嬉しく思っております。今後も近畿大学様の教育方針併せて、運用の支援やシステムの提案を行うことができればと考えております。
取材︓2025年5月22日 
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