学内の省エネ意識を高めたい
東京海洋大学のキャンパスは品川と越中島の2拠点。それぞれに歴史を持つ旧東京水産大学・旧東京商船大学の校地を引継ぎ、重要文化財に指定されている帆付汽船「明治丸」や登録有形文化財の校舎などをそのキャンパス内に持つことからも、130年を超える歴史と伝統をうかがい知ることができます。東京海洋大学は国内唯一の海洋系大学として、環境への配慮・省エネ活動に積極的に取り組んでおられます。財務部施設課設備係長の寺尾信一氏はその取り組みについて次のように語ります。
「省エネ法にもとづき、大学全体で活動を推進しています。特に品川キャンパスについては東京都の環境確保条例※1により、2010年度から毎年8%のCO2削減が義務付けられることとなりました。これを受け、まずは古い空調機220台をトップランナー※2の省エネ型機器に、その後も水冷式チラー※3をガス空調機に替えるなど、設備面での省エネに取り組んできました」。
※1 環境確保条例:「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の略称。
※2 トップランナー:省エネ法にもとづいて指定される、最も省エネ性能が優れている機器のこと。
※3 チラー:水や熱媒体を温度管理しながら循環させ、さまざまな種類の産業機器、計測機器、食品加工機器、理化学機器などの温度を一定に保つための装置の総称。
国立大学法人東京海洋大学 財務部 施設課 設備係 係長 寺尾 信一 氏
15%の節電を課する電力使用制限令※4が発動した昨夏は、学内へ節電を大きく呼びかけ、これをなんとかクリアしたといいます。今年はそれがなく「せっかく盛り上がった省エネ意識が薄れてしまった」と寺尾氏は懸念の様子です。
「品川キャンパスには依然CO2削減義務が課せられており、これも決して容易な目標ではありません。また、研究に必要な電力の削減は、先生方が主導で進めなければ実現が難しいのです。先生や学生さんの省エネ意識を高めるべく、現状を自分の目で見てもらわなくては、と考えました」(寺尾氏)。
※4 電力使用制限令:電気事業法にもとづき、電気の供給不足を回避させる目的で、大口需要家(契約電力500キロワット以上)の使用最大電力を制限する措置。