
ファイルサーバを移行したい!データ移行の方法や手順を解説
DXや働き方改革の流れを受け、ファイルサーバーのクラウド移行を検討する企業が急増しています。
しかし、データ移行には、データの消失リスク、業務の停滞、コスト増大、そして最適なクラウドサービスの選定といった多くの課題が伴います。特に「高額なデータ転送料(エグレス料金)」や「複雑なストレージ階層管理」は、クラウド移行の大きな障壁となりがちです。
本記事では、ファイルサーバーのデータ移行を成功させるための具体的な手順や注意点を解説します。貴社のファイルサーバー移行を成功させ、データ管理を最適化するためのヒントにぜひお役立てください。
目次[非表示]
- 1.ファイルサーバー移行が今、求められる理由
- 2.ファイルサーバー移行の基本的な流れと成功のポイント
- 2.1.手順①移行データの整理
- 2.2.手順②移行するデータを確認しバックアップを取る
- 2.3.手順③優先順位とスケジュールを決める
- 2.4.手順④データ移行システムの検討・導入
- 2.5.手順⑤データ移行の実施・共有
- 3.クラウド移行のメリットと見落としがちなコストの罠
- 4.クラウドストレージ選定で重視すべき5つのポイント
- 5.ファイルサーバー移行の課題を解決するホットクラウドストレージ「Wasabi」とは?
- 6.Wasabiを活用したファイルサーバー移行・データ管理の具体例
- 7.徹底した事前準備と最適なクラウドストレージで移行を成功させよう
ファイルサーバー移行が今、求められる理由
多くの企業が、現在利用しているファイルサーバーからの移行、特にクラウドへの移行を検討しています。その背景には、以下のような現代ビジネスのニーズと課題が存在します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進と働き方改革への対応
テレワークやリモートワークの普及により、場所やデバイスを問わず安全にデータへアクセスできる環境が不可欠になりました。既存のファイルサーバーでは、柔軟なアクセス環境の構築が難しい場合があります。
BCP(事業継続計画)対策の強化
地震や災害などの緊急事態が発生した際、データ喪失のリスクを最小限に抑え、迅速な事業復旧を可能にするために、データを分散管理し、堅牢な環境で保護する必要があります。
増大するサイバー攻撃へのセキュリティ対策
近年、企業を狙ったランサムウェア攻撃などのサイバー攻撃が急増しており、データ改ざんや破壊のリスクが高まっています。既存のオンプレミス環境では、高度なセキュリティ対策の維持が難しくなっており、より堅牢なクラウド環境への移行が求められています。
既存システムの老朽化と運用コストの増大
長年利用しているファイルサーバーは、ハードウェアの老朽化による故障リスクや、保守・運用にかかるコスト、そして管理者の負担が増大します。
データ量の爆発的な増加への対応
デジタルデータの増加は止まりません。既存のファイルサーバーでは、拡張性に限界があり、増え続けるデータに対応しきれないケースが増えています。
これらの課題を解決し、ビジネスの成長を加速させるためには、ファイルサーバー移行、特に柔軟性と拡張性に優れたクラウド移行が、現代企業にとって不可欠な戦略の一つとなっています。
ファイルサーバー移行の基本的な流れと成功のポイント
ファイルサーバー移行は、企業にとって重要なプロジェクトです。自社で実施する場合も、移行サービスを利用する場合も、基本的な流れを理解し、適切な手順を踏むことが成功への鍵となります。

ファイルサーバを移行する基本的な流れは、次のとおりです。
自社で移行する場合も、移行サービスを利用する場合も、基本的な流れは変わりません。それぞれのポイントを押さえておきましょう。
手順①移行データの整理
移行プロジェクトの最初に、移行対象となるデータを整理することが最も重要です。移行すべきデータの種類や量を洗い出しておきましょう。不要なデータは削除し、重複データは排除することで、移行作業の効率化と、移行後のストレージコスト削減に繋がります。
ただし、自身にとって不要なデータでも、他者にとっては重要な可能性があるため、独断しないように注意が必要です。削除してよいのかどうか判断できないデータは、アーカイブ用のストレージなどに格納しておくと整理しやすくなります。
また、削除するデータを独断で決めず、関係者へ確認を取ることも大切です。
手順②移行するデータを確認しバックアップを取る
ファイルサーバー移行時には、データの破損や消失のリスクが常に伴います。万が一の事態に備え、必ず移行前にデータの完全なバックアップを取得しておきましょう。
バックアップ先は、外付けHDD、NAS、または別のクラウドストレージなど、複数確保しておくことが推奨されます。
手順③優先順位とスケジュールを決める
データ量が多い場合、一度にすべてのデータを移行することは現実的ではありません。業務への影響を最小限に抑えるため、データの重要度や利用頻度に応じて優先順位をつけ、段階的な移行スケジュールを策定しましょう。
日常的に利用するデータは、業務時間外や休日に移行するなど、現場の混乱を避ける工夫が必要です。
手順④データ移行システムの検討・導入
事前準備と並行して、データを移行するためのシステムやクラウドサービスを選定します。特にファイルサーバーのクラウド移行を検討している場合は、セキュリティ、コスト、既存システムとの連携性、サポート体制などを考慮した要件定義が重要です。
オンプレミスからクラウドへ安全かつ効率的にデータを移すための移行ツールやS3互換の連携方法も検討すべきでしょう。製品ごとの機能性や操作性、価格などを比較検討し、テスト移行を通じて自社に最適なソリューションを見極めましょう。無料トライアルやデモ版の活用も有効です。
テスト移行の段階で、事前に想定したスケジュール通りに進行できるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
手順⑤データ移行の実施・共有
移行作業に着手する前に、社内への十分な周知を行います。移行中は一時的にサービスが停止したり、アクセス速度が低下したりする可能性があるため、事前に業務への影響を伝えておくことが大切です。
移行完了後も、新しいアクセス方法や運用フローについてマニュアルを整備し、説明会を開催するなど、丁寧なフォローアップを実施することで、現場の混乱を防ぎ、スムーズな運用定着を促します。
クラウド移行のメリットと見落としがちなコストの罠
ファイルサーバーのクラウド移行は、多くのメリットをもたらします。
どこからでもアクセス可能
インターネット環境があれば、場所やデバイスを問わずデータにアクセスでき、テレワークや拠点間の情報共有が容易になります。
災害対策・BCPの強化
データがクラウド上に分散保管されるため、自社拠点の被災時にもデータ喪失のリスクを大幅に軽減し、事業継続性を高めます。
運用・保守負担の軽減
ハードウェアの維持管理やシステムアップデートなどのインフラ運用はサービスプロバイダーに任せられるため、IT部門の負担が軽減されます。
スケーラビリティ
データ量に応じて必要なストレージ容量を柔軟に拡張・縮小できるため、初期投資を抑えつつ、将来のデータ増加にも対応できます。
一方で、クラウド移行には見落とされがちな「コストの罠」が存在します。特に、従来のクラウドストレージサービスでは、以下のような費用が企業の想定を超え、クラウド移行のメリットを打ち消してしまうケースが少なくありません。
高額なデータ転送料(エグレス料金)
クラウド上に保管したデータをダウンロードしたり、外部サービスに連携させたりする際に発生するデータ転送料は、想定以上に高額になることがあります。頻繁にデータアクセスが必要な企業にとっては、大きな負担となりかねません。
複雑な料金体系とストレージ階層
多くのクラウドサービスは、データアクセス頻度や保管期間に応じて「ホット」「クール」「アーカイブ」といったストレージ階層を設け、それぞれ異なる料金体系を採用しています。これにより、コスト計算が複雑になり、最適でない階層にデータを置いてしまい、結果的にコストがかさむことがあります。
これらのコストの罠を避けるためには、単に初期費用やストレージ容量の単価だけでなく、運用中に発生しうるあらゆる費用を考慮し、トータルコストで比較検討することが不可欠です。
クラウドストレージ選定で重視すべき5つのポイント
最適なクラウドサービスを選定するためには、以下の5つのポイントを重視して比較検討しましょう。これらは、ファイルサーバー移行を成功させる上で、コスト効率と運用効率を両立させるために不可欠な要素です。
1.コストパフォーマンス
特にデータ転送料(エグレス料金)やAPIリクエスト料金の有無、料金体系のシンプルさは、運用コストを予測し、最適化する上で極めて重要です。
2.性能とアクセス速度
日常業務に支障が出ないよう、データのアップロード・ダウンロード速度やレスポンスタイムが十分であるかを確認します。
3.セキュリティとデータ保護
データ暗号化、アクセス制御、不変ストレージ(Immutable Storage)機能の有無、堅牢なデータ保護対策が施されているかを確認します。
4.互換性と連携性
S3互換APIの有無は、既存のアプリケーションや移行ツールとの連携しやすさに直結します。これにより、移行作業がスムーズになり、ベンダーロックインのリスクも低減されます。
5.運用の容易さ
管理画面の使いやすさ、ストレージ階層の有無、サポート体制など、IT担当者の運用負担を軽減できるかどうかも重要な選定基準です。
ファイルサーバー移行の課題を解決するホットクラウドストレージ「Wasabi」とは?
ファイルサーバーのクラウド移行を検討する上で課題となる「コストの予測不能性」や「管理の複雑さ」を解決するクラウドストレージサービス「Wasabi」をご紹介します。Wasabiは、従来のクラウドサービスが抱える弱点を克服し、企業が求める「低コスト」「高速」「シンプル」なデータ管理を実現します。
1. 低価格かつ予測可能な料金体系
Wasabiの最大の特長は、驚くほどシンプルで予測可能な料金体系にあります。
- データ転送料(エグレス料金)が無料データをWasabiから取り出す際の費用は一切かかりません。これにより、予期せぬ費用発生の心配がなく、クラウド移行における最大の懸念事項の一つを解消し、コスト削減に大きく貢献します。
- APIリクエスト料金も無料データへのアクセス頻度に応じた課金がなく、必要な時に必要なだけデータを利用できます。
- シンプルな月額固定料金ストレージ容量に応じた一律料金で提供されるため、月々のコストを非常に簡単に予測でき、予算管理が容易になります。
2.高速なデータアクセスとシンプルな運用
Wasabiは、その名の通り、すべてのデータを「ホットストレージ」として設計しています。
- 常に高速でアクセス可能アクティブに利用するデータも、アーカイブするデータも、常に同等の高速なパフォーマンスでアクセスできます。従来のクラウドストレージのように、データの出し入れに時間のかかる「クール」や「フリーズ」といった階層への移動が不要なため、必要な情報にすぐにたどり着けます。
- 直感的な管理画面複雑な設定が不要で、IT担当者の運用負担を大幅に軽減します。シンプルなUIで、誰でも容易にデータ管理を行うことが可能です。
堅牢なセキュリティとS3互換性
Wasabiは、コストや速度だけでなく、企業が最も重視するセキュリティと互換性においても高い水準を提供します。
- S3互換APIAmazon S3互換のAPIを提供しているため、既存のS3対応ツールやアプリケーションと容易に連携可能です。多くのファイルサーバー移行ツールもS3対応しており、Wasabiへのスムーズな移行を実現します。
- 標準で不変ストレージ機能(Immutable Storage)ランサムウェア攻撃や誤削除からデータを保護する「オブジェクトロック」機能が標準で提供されます。一度書き込まれたデータは、指定された期間中は変更・削除が不可能となり、データの堅牢性が極めて高いです。これにより、ランサムウェアによるデータ改ざんや削除のリスクを大幅に低減し、強固なセキュリティ対策を実現します。
- データは常に暗号化され、多要素認証にも対応しており、安心して利用できる環境を提供します。
Wasabiを活用したファイルサーバー移行・データ管理の具体例
Wasabiは、その優れた特性から、様々なファイルサーバー移行シナリオやデータ管理の用途で活躍します。
- プライマリーストレージとしての利用既存のファイルサーバーの置き換えとして、Wasabiを直接ファイルデータ共有基盤として活用できます。S3互換の各種ゲートウェイや同期ツールと組み合わせることで、社内外からの高速でセキュアなデータアクセス環境を構築可能です。
- バックアップストレージとしての利用現行のファイルサーバーや各種システムからのバックアップデータを、低コストでWasabiに保管できます。高速なデータアクセスにより、災害時やシステム障害発生時にも迅速なリカバリが可能となり、BCP対策を強化します。ランサムウェア対策としても、不変ストレージ機能が有効です。
- アーカイブストレージとしての利用長期保存が必要な非アクティブなデータを低コストでWasabiにアーカイブできます。階層管理が不要なため、いざという時にすぐにデータを取り出すことができ、従来のアーカイブストレージの課題を解決します。
- DR(災害復旧)サイト構築WasabiをDRサイトのデータ保存先として利用することで、堅牢かつ低コストな災害復旧環境を構築し、ビジネスの継続性を確保します。
徹底した事前準備と最適なクラウドストレージで移行を成功させよう
ファイルサーバー移行は、企業にとって事業継続性と競争力を高めるための重要な戦略です。データ整理、バックアップ、スケジュール策定といった徹底した事前準備が何よりも成功の鍵を握ります。
そして、クラウド移行を検討する際には、単に安価なだけでなく、将来的な運用コスト、パフォーマンス、セキュリティ、そして管理の容易さといった多角的な視点から最適なクラウドサービスを選定することが不可欠です。
クラウドストレージサービスWasabiは、高額なデータ転送料や複雑な料金体系に悩まされがちなファイルサーバーのクラウド移行において、コスト削減と運用効率化を同時に実現する強力な選択肢となるでしょう。シンプルな料金体系と高速アクセス、堅牢なセキュリティを兼ね備えたWasabiを導入することで、貴社のファイルサーバー移行プロジェクトを成功に導き、データ管理の未来を切り拓くことができるはずです。
また、ファイルサーバの切り替えと同時にエンタープライズサーチ(企業内検索エンジン)を導入することで、スムーズな移行が可能になるだけでなく、DX推進のきっかけにもなります。
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