MajorFlowを導入
一気通貫処理による業務の効率化

「"変わらない"のに新しい」は、株式会社髙島屋(以下、髙島屋)のコーポレートメッセージです。制度改正などはあっても、会計の根本は変わるものではありません。しかし、ERPの導入や新しいITの普及などを受け、会計周辺は大きな変化の中にあります。常に最高の効率と精度を追求し、変わらないのに新しくあり続ける髙島屋の取り組みをご紹介いたします。
課題
  • 精算時に異なる帳票やシステムに複数回の入力が必要で非効率

  • 申請の種類により、入力内容や承認フローが異なる

解決
  • データ入力や確認作業の大幅な効率化が実現できた

  • リアル収支管理など、新たな価値を生み出すことができた

ワークフローによる効率化の歴史

「従業員が1ヵ月に出す出張旅費や経費の伝票は、何万件にもなります。」

株式会社髙島屋企画本部財務部次長で、2000年当時主計グループを担当していた寶崎(ほうさき)克彦氏は、大量の伝票がもたらす多大な経理業務の負荷解消を大きな課題と捉えていました。

そしてその解決は、「使用者自身が入力し、上司や管理部門に電子承認を得る、ワークフローシステムの導入だ」と考えたのです。

「ようやくパソコンが普及し始め、インフラ回線も万全ではない時代です。無理だと言う声もありましたが、電子化は大きな業務効率化に繋がると確信していました。」(寶崎氏)

IT部門と全国を回り、ワークフローの普及活動を進めた結果、承認工程の短縮や確認作業の効率化などの成果が認められ、やがて交際費や経費請求の申請などにも利用されるようになります。
株式会社髙島屋
企画本部財務部 次長
寶崎 克彦 氏

入力から会計まで一気通貫のシステムを

また髙島屋は、独自に開発した財務会計システムをメインフレームで稼働させていました。2009年、老朽化や国際会計基準(IFRS)への対応を目的に、ERPパッケージ『SAP R/3』への更新が決まります。
ここで問題となったのは、データ入力のプロセスだったと寶崎氏は言います。

「SAP R/3は、業務をパッケージに合わせることが前提のシステムです。しかし制約が多く、入力者も限定されているため、従来のやり取りと整合を取るためには、入力担当者を別に置いてデータを打ち直ししなければなりません。このような非効率な二重入力を避ける鍵は、やはりワークフローだと考えました。」

直接SAP R/3に入力するのではなく、使用者の入力結果が自動的に会計システムまで反映される、一気通貫型のフロントシステムが検討された結果、 多段階承認機能や柔軟性、そしてSAP R/3との連携実績が評価され、 パナソニック ネットソリューションズ株式会社(以下、PNETS)の『MajorFlow』がフロントシステムのベースとして選ばれたのです。

寶崎氏は「機能面での評価はもとより、これまでのワークフローの展開を通じて、仕組みの継承や、髙島屋の文化を知っているという点にも安心感がありました」と当時の期待感を語ります。

貫かれた一気通貫のコンセプト

髙島屋の頭文字を取って『T-FLOW』(ティーフロー)と名づけられたフロントシステムの開発・導入は、 SAP R/3や36もの周辺システムの更新作業と同時に、2010年からわずか1年半というスケジュールで進められました。

株式会社髙島屋IT推進室IT推進担当次長の倉成勝彦氏は、「フロントシステムであるT-FLOWは、すべてのシステムとの調整が必要で、そこに時間がかかりました」と当時を振り返ります。

さらに倉成氏は、「旧システムとの並行期間がなく、使い勝手の変化や管理機能の不足、電子化への抵抗感などもありました」と導入の難しさも語ります。

寶崎氏は、「困難な状況でしたが、それでも一気通貫で処理をする『One Fact, One Place』のコンセプトは貫こうと考えました」と語り、社内外の調整に奔走したと言います。
株式会社髙島屋
IT推進室
IT推進担当次長
倉成 勝彦 氏

多くのメリットを生み出すフロントシステムが実現

こうして2011年に稼働を迎えた新しいシステムについて、寶崎氏は「T-FLOWがなければ成り立たなかった」とその役割を述べた上で、「SAP R/3を意識することなく、経費の使用者がシステム入力できるため、二度打ちの削減や入力チェックもかけることができます。承認工程の短縮も合わせ、入力・確認両面での効率化は言うまでもありません」と成果に胸を張ります。

例えば、新しい仕組みでは最大30行の伝票が月に50,000件も発生しているとのことですが、管理する主計グループなどの人数は、「SAP R/3とのフル連携のMajorFlow導入前と比較し約2分の1にできた」(寶崎氏)とのこと。

ほかにも寶崎氏は、

  • 申請から会計データまで一気通貫で電子的な紐付けがなされており、長期間にわたり、必要に応じてデータの確認が可能
  • SAP R/3の入力では合計金額を合わせる仕訳しかできないが、T-FLOWは対となる仕訳を作りSAP R/3に連携することで、わかりやすい仕訳が実現
  • 夜間バッチではなく30分間隔でのデータ反映を行うことで、ほぼリアルでの収支管理や決算確認が可能

など、T-FLOWがフロントシステムを担うことで実現したことは多いと言います。

PNETSについては、「これらの取り組みに中心となって取り組んでいただき、色々と無理もお願いしました。ベンダーを超える、戦友のように感じています」(寶崎氏)と、高い評価をいただきました。

今後の展望

導入後の帳票レイアウト調整や機能の改善も一段落し、寶崎氏は次の取り組みを見据えます。

「承認は電子化されていますが、まだ証憑のやり取りは残っています。これらの完全電子化に向けた取り組みを進めたい。」

また、クレジット事業やインテリア事業など、10数社に及ぶ子会社などへの展開など、「髙島屋全体の業務効率化に向けて今後も継続した取り組みを検討していきたい」と展望を語っていただきました。

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当社担当からひとこと

久ノ 護
システム提案に際しては、お客さまと一緒にアイデアを出し合い、業務を通じてシステムを利用いただき、より効率化をはかれる様に改善を繰り返し、現場における利便性を最大限に追求し、一緒に構築させていただいたと感じております。お客さまとベンダーの立場を超えて、髙島屋様の業務効率化を実行するプロジェクトに参画させていただいたことを心から感謝申し上げたいと思います。さらにご活用いただけるよう、今後もお手伝いさせていただきたいと思います。
取材︓2015年1月23日
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