月200枚に及ぶ見積書の手入力作業をWisOCRで効率化
作業時間が半減し、社員にかかる心身負担の軽減に貢献

大同特殊鋼グループをITで支援する大同ITソリューションズの調達室では、様々な企業から見積書を受け取り、基幹システムに手入力する作業が大きな負担となっていました。人的ミスも懸念される状況だったため、手入力作業を効率化するソリューションとしてAI-OCRソフトを検討し、3製品のトライアルを経てWisOCRを導入しました。WisOCRの選定ポイントや導入後の効果などについてお伝えしていきます。
導入のポイント
見積書の情報を基幹システムに手入力する作業をWisOCRを導入して効率化
導入前の入力作業は月平均約53時間。WisOCRを導入で約60%作業時間削除
導入前は月初のピーク帯に作業ボリュームが集中。導入後はピーク帯の残業を削減
課題
  • 基幹システムへの見積書の手入力作業

  • 1日あたり20枚前後の見積書の手入力は労力と時間がかかる

  • 見積書ごとにフォーマットを作成するOCRソフトは非現実的

解決
  • WisOCR導入後は月の作業時間が半分以下に

  • 見積書の手入力作業を効率化するWisOCRを導入

  • フリーフォーマットで実行できるWisOCRはフォーマット作成不要

見積書の手入力作業を効率化するにはOCRソフトが必要

――WisOCRを導入した目的を教えてください。

縣氏 調達室では様々な企業から集まってくる見積書(PDF)を受け取り、その見積書の情報を基幹システムに登録する作業があります。その際、見積書を見ながら一件ずつ手入力で登録していました。この手入力作業を効率化するため、AI帳票OCRソフトのWisOCRを導入させていただきました。
株式会社大同ITソリューションズ 総務部 調達室 縣 弘敏氏

担当者にかかる負担とヒューマンエラーの懸念を払しょくしたい

――見積書の手入力作業における具体的な課題をお聞かせください。

縣氏 課題のひとつは、手入力を行う担当者に大きな負担がかかっていたことです。手入力する見積書は年間約2,500枚。月換算では約200枚、1日あたり20枚前後の見積書を手入力しなければなりません。しかも、どの見積書も項目は数行に及びます。見積書によっては30~40もの項目が記載されているため、数名で分担しているとはいえ、1件入力するだけでもかなりの時間を要していました。

小林氏 もうひとつ、手入力はどうしてもヒューマンエラーの懸念がありました。見間違いやタイプミスなどがヒューマンエラーにつながっていきますが、その要因のひとつになっていたのが各社ごとに異なる見積書の帳票レイアウト。同じ会社でも部門によってレイアウトが異なる場合が多々あり、取引先が200社以上ある現状では、少なくとも200以上のレイアウトが存在することになります。レイアウトが異なれば、品名や型番などの位置や順番も異なるため、ケアレスミスが発生しやすい状況でした。

こうした課題を解決すべく、以前から注目していたのがOCRソフトです。見積書の中の必要な情報をOCRソフトでデータ化し、それをCSVファイルで出力して基幹システムに取り込めば、大きく効率化できるのではないかと考えていました。

――OCRソフトに求めた要件がございましたら教えてください。

小林氏 もともと当社には、CSVファイルを読み込んで基幹システムに登録する処理を自動で行う仕組みがありました。ただし、自動処理の仕組みを利用する場合は、それに適したCSVファイルが必要になります。ですからOCRソフトには、自動処理の仕組みに適合するCSVファイルを出力できることを求めました。
株式会社大同ITソリューションズ 総務部 調達室長 小林 克氏

作業工程の少なさ、高い認識率、使い勝手の良さなどから
WisOCRを選定

――OCRソフトの比較・検討されましたか。また、その際にWisOCRを選定した理由をお聞かせください。

縣氏 2023年中頃、まずはWebを検索してOCRソフトの情報収集を行いました。ある程度情報をインプットしてから取引のあるベンダーに声をかけ、提案してもらった5つのOCRソフトで比較・検討を開始。出力できるCSVファイルの形式、コスト、操作性などで比較・検討を重ね、最終的には3つのOCRソフトに絞りました。この3つのOCRソフトに関しては、2023年の夏から秋にかけてトライアルを実施。このトライアルを踏まえて選定したのがWisOCRで、選定理由は以下の通りとなります。

<フォーマットを作成する必要がなく、導入準備にかかる作業工程が少ない>
縣氏 トライアルを実施した当時、見積書ごとのフォーマット作成が不要だったのがWisOCRでした。フォーマットとは帳票の文字データを正確に読み取るための設定を定義したファイルで、これを作成することで品名や型番の位置を記憶し、読み取りの精度を高めることができます。

当社の場合、フォーマット作成で問題となるのはその数です。冒頭で申し上げた通り、200種類以上の見積書が届くため、一つひとつフォーマットを作成するのは現実的ではありませんでした。
しかしWisOCRの場合はフォーマットを準備せずとも、見積書のPDFをアップロードするだけで読み取りができました。

簡単なアップロード設定を行えばフォーマットの作成自体は不要ため、導入準備にかかる工数が他社に比べ圧倒的に少なく、これが大きな決め手となりました。

<高い認識率>
縣氏 フォーマットを用いなくても文字認識率が高く、品名、型番、金額などの情報を正確にCSVファイルへ出力できるのがWisOCRでした。人の手による修正が必要になる場面がほとんどなかったため、当社が求める効率化・自動化に適していると判断しました。

<当社が求める使い勝手>
小林氏 何百枚もある同じ種類の帳票を連続で読み込む場合は、一度に読み込ませるというやり方が便利だと思いますが、当社のように大半が異なるレイアウトの見積書の場合は、1枚ずつ読み込む方式がベストだと考えました。この使い勝手にWisOCRは合致していました。
しかも、画面が非常に分かりやすく、直感的に操作することが可能。誤認識があった場合も、認識結果の確認画面で、対象箇所をクリックすればすぐに編集できる操作性も素晴らしいと感じました。

月平均約53時間の作業が、
WisOCR導入後は月平均約22時間に激減

――導入プロセスと導入後の効果をお聞かせください。

縣氏 当社の自動処理の仕組みに連携させるための調整を行った後、無事、2024年3月からWisOCRの運用を開始することができました。認識率及び自動処理の仕組みとの連携も問題なく、毎日スムーズに稼働しています。効果は以下の通りです。

効果①:月の作業時間が半減
縣氏 見積書の処理業務における作業工数の記録を確認したところ、2020~2022年にかけて見積書の手入力作業は、月平均約53時間かかっていましたが、WisOCR導入後は月平均約22時間と約60%削減。思い描いていた効率化を実現でき、さらに省人化にも大きく寄与しています。

効果②:繁忙期の残業時間を削減
小林氏 当社の体制上、見積書が届くタイミングのピークが月初にあり、どうしてもその月初に作業ボリュームが集中してしまう傾向があります。
以前は月初の数日に関しては残業で対応していましたが、WisOCR導入後は残業がほぼなくなりました。ピーク帯の残業を削減できたことは、単純なコスト削減だけでなく、社員にかかる心身負担を軽減し、日々の業務パフォーマンスを向上させるという点でも、非常に大きな効果だと考えています。
▲業務効率化のイメージ

パナソニックグループの
手厚いサポートに満足している

―――パナソニックグループに対する評価をお願いします。

縣氏 導入時からエンジニアの方に入っていただき、手厚くサポートしてもらいました。質問に対する回答も素早く、WisOCRをスムーズに稼働させられました。おかげさまで大きなトラブルなどはありません。もちろん、パナソニックグループの対応には満足しています。

―――今後の展開とパナソニックグループへの期待をお聞かせください。

小林氏 見積書の手入力作業自体がイレギュラーなため、他部門を見回してもOCRを必要とするような業務はほぼないと思います。社内の横展開ではなく、大同特殊鋼グループへの展開は考えらえれるかもしれません。例えば、ブレットの持ち歩きが難しい高温の生産ラインの現場では、手書き文字のデータ化というニーズがあります。認識率次第になるとは思いますが、手書き文字をOCRで読み取る利用方法は検討できるのではないでしょうか。
また、当社は大同特殊鋼グループへIT関連のソリューションを販売している関係上、グループ企業から様々な問い合わせが入ってきます。その際、パナソニックグループが取り扱っている商材がマッチすれば、ぜひ一緒に展開できればと思っています。今後もこれまでと同様のサポートを期待していますので、引き続きよろしくお願いします。

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当社担当からひとこと

パナソニック ソリューションテクノロジー 吉村 祐一
パナソニック インフォメーションシステムズ 加藤 雅信
今回は、パナソニック ソリューションテクノロジーとパナソニック インフォメーションシステムズが協力をして案件のプリセールス段階からデモ、選定に至るプロセスの中で、互いの役割をしっかり果たしお客のご要望に寄り添った結果、ご採用いただくことができました。今後もお客様の業務に寄り添い、継続してご利用をいただくこと、ゆくゆくは大同特殊鋼グループ全体の業務効率化にお役立ちできるよう、常に製品とサポートを進化させていきたいと思います。
取材︓2025年3月14日 
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