ArgosViewを導入
災害対策本部での活用

由利本荘市を縦断する一級河川子吉川は、市南端の鳥海山(国定公園)に源を持ち、市を北上し、市役所のある由利本荘市街で日本海に流れ込みます。しかし市内を流れる川とはいえ、なんとその延長は61㎞、流域面積は1,190km²※1にも及びます。そのように広大な由利本荘市を見守る目として、またふるさとを遠く離れた人たちの目として、同市は全域10ヵ所にライブカメラを設置、リアルタイムな由利本荘市の今を伝える住民サービスを推し進めています。
※1 一級河川子吉川 : こよしがわ 流域面積:1,190㎢ 幹川流路延長:61km (国交省のデータより)
課題
  • 広大な市を見守る防災の目がほしい

  • もっと快適に住民に使ってほしい
解決
  • 災害対策本部での活用も視野に入れたシステムが実現
  • メンテナンス性が向上。いつもきれいな映像を提供できるようになった

「市の面積は、神奈川県の半分もの広さ・・・」

「これほどの広さだと、当然山間部と海側では気候がまったく違います。今、海が山がどうなっている、上流下流がどうなっている、という状況をライブカメラの映像で確認しながら的確な防災対策が求められます」と由利本荘市役所企画調整部参事の滝野氏はライブカメラ導入の目的を語ります。

神奈川県の半分もの面積に3万世帯8万2千人の住民が暮らし高齢化も進んでいます。災害時、行政の的確な情報分析や素早い情報伝達は市の抱える重要な課題です。「国の補助事業としてライブカメラを設置したのが10年前。その間、日本はさまざまな大災害を経験し、その重要性はいっそう増している」と滝野氏は言います。
由利本荘市役所
企画調整部情報管理課
参事・課長補佐
滝野 由紀夫 氏

「年々見る人が増え、いろいろな問い合わせが寄せられます」

滝野氏は、ライブカメラに関する住民からの問い合わせを受けてきた経験から「ライブ映像には非常に関心が強い」と言います。工事中(2014年11月現在)の出羽中学カメラでは「なぜ網(工事用のネット)がかかっているのか?」や「夕日が見たいからカメラを振れるか(岩城港のライブカメラ)」などの問い合わせも多く寄せられ、ライブカメラへの反響は近年より大きくなっているようです。

平時と災害時、両方に役立つライブカメラシステムを

このようにライブカメラは、平時には地域住民やふるさとを離れた人たちの目となって市内各地の様子を伝え、災害の発生が危ぶまれる状況においては、監視の目となって情報を伝える役目を果たさなければなりません。24時間365日由利本荘市の今を、正確に、リアルタイムに、そして見やすく伝えるために新システムの検討が行われました。
由利本荘市役所庁舎

動画の品質と信頼性にこだわって

「ライブカメラの更新にあたっては、外部の動画サービスを利用した配信という提案も出ました。しかし最終的に映像のサービス品質がきちんと担保できるかということをポイントに選択しました」と滝野氏は語ります。日常の市民サービスとして空気が伝わる動画品質、災害を未然に防ぐ情報源としての可用性や安定性などを総合的に勘案しシステムの構成を決めました。

災害対策:国土交通省が提供する情報とも統合をめざして

国交省が自治体向けに提供する河川や気象などの情報をうまく活用し、ライブカメラ情報とあわせ災害の予兆監視や災害対策を迅速に進めるため、映像情報を統合的に監視できる仕組みを今回構築しました。

「複数カメラ映像を画面分割で一括監視、災害対策に関わる職員や災害対策本部で共有できるようになりました(滝野氏)」というように国交省カメラと合わせ12箇所までのカメラ映像を統合運用でき、情報の補足性が高まりました。
画面分割パターンの表示例 (ArgosView映像監視システム)
※カメラ映像は表示例用の埋め込みです

日常サービス:いつも今の由利本荘を感じていただけるように

「消防署由利分署のライブカメラは鉄塔の上にあるので絶対ムリなんですよ(滝野氏)」というのはカメラを覆うフードの拭き取り清掃のことです。うれしいことではありますが、カメラ映像が汚れているとすぐに市民の方から連絡が入るそうです。「施設の担当に連絡して拭いてもらえる場合は良いのですが、設置場所によっては機械を使わないとムリという場所もあります」と滝野氏は対応の難しさを語ります。

「高所だからこそメンテナンスフリーはありがたい」

一般的にライブカメラは見通しを確保するために屋上や鉄塔など高所に設置します。「夏場にはよく泥のようなものが付着した」といわれるように汚れはもちろん、ただの雨露の水滴すらもライブカメラの視界を妨げてしまいます。「こりゃあいいなと思いました。カメラフードの親水加工は良いアイディアで、市民の方からの先のような苦情もだいぶ減ったように思います」と滝野氏は効果を実感しています。
河川を監視するライブカメラの設置状況/ボートプラザ アクアパル(由利本荘市北裏地)

次は市民にもっと広い視野を提供したい

「鳥海山麓の法体園地の紅葉もよく見えます」映像がきれいになったことで市民の皆さんには前にも増して喜んでいただけているようです。さらに「設置場所はなかなか増やせませんが、一定時間ごとに撮影するポジションを動かして視野を広げるということも考えています。」と滝野氏は活用度をさらに上げるアイディアを温めているところです。ちょうど矢島地区日新館に設置されたライブカメラが由利高原鉄道※2の矢島駅を映しており、発着する列車がよく見えます。漫画作品「ゆりてつ 私立百合ヶ咲女子高鉄道部※3」の最終話(2013年11月)では、この由利高原鉄道が舞台となり、県外の一般市民からも大きな注目を集めました。こういった場面でもライブカメラがブームの推進に一役買ったことは想像に難くありません。

※2 由利高原鉄道:由利本荘市内を走る第三セクターの鉄道会社。鳥海山ろく線 羽後本荘 – 矢島23.0km 12駅で運営。愛称は「ゆりてつ」下注釈3の「ゆりてつ」とは直接関係はない。
※3 「ゆりてつ 私立百合ヶ咲女子高鉄道部」 松山せいじ氏の漫画作品

ライブカメラはもはや不可欠な市民サービス

災害時に十分な備えとして、また通常時にはそのライブ性を活かして、県内外に由利本荘市をアピールするこのライブカメラシステム。その利用度は年々上昇しており、もはやなくてはならない市民サービスへと成長しているようです。

導入商品

由利本荘市内10ヵ所にライブカメラを配備。風を感じる波のきらめきや木々の揺らぎ、遠く鳥海山やふもとの四季のうつろいなど、由利本荘市の今をリアルタイムな“動画”として届けています。
災害の兆しは昼間だけとは限りません。目の届きにくい夜だからこそ的確な判断につながる情報が必要。国交省のカメラシステムからの情報なども統合し庁内に情報が集まるよう工夫されています。

高所に設置する機器だからこそメンテナンスフリーは重要

カメラの機能がどんなに優れていても、カメラを覆うフードが汚れていてはその機能も活かせません。今回導入したパナソニックの監視カメラのフードは親水加工が施されているので、水滴の玉が形成されにくく、また汚れの内側に水が入り込みやすくセルフクリーニングの機能があります。監視カメラの性質上、メンテしにくい場所に設置されることが多いのですが、管理者にも利用者にも好評な特長です。

親水加工とその効果

ネットワークカメラの概要

WV-SW395AJ (Panasonic製)

  • i-PROシリーズスーパーダイナミック方式 屋外ハウジング一体型ネットワークカメラ
  • 1.3メガピクセル/HD(720p)対応 屋外ハウジング 光学18倍ズームレンズ
  • パン・チルト・ズーム機構 親水コーティング
  • スーパーダイナミック方式(照度差の激しさを緩和し被写体が見やすい)

監視カメラ統合監視システム ArgosView(アルゴスビュー)

複数のカメラシステムの統合、ライブ配信、自動的に長期保管、他のセンサー機器などとの連携など、監視カメラシステムに対する要望は複雑化しています。しかし、パナソニックのArgosViewならこの問題を解決。すべてウェブから操作できる簡単設定、視認性や一覧性に優れたマルチビューのモニタリングなど、現在の監視カメラに求められる機能を満載しています。また、お客さまの多様なご要望に沿うカスタマイズに対応できることも自社パッケージならではのメリットです。

由利本荘市役所のライブカメラシステム構成

  1. 本件名はパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社が納入いたしました。
  2. パナソニック ネットソリューションズ株式会社は、カメラの統合システムのインテグレーションを担当しました。
  3. ArgosView(アルゴスビュー)は、パナソニック ネットソリューションズ株式会社の登録商標です。
  4. ArgosView映像監視システムは、パナソニック ネットソリューションズ株式会社のオリジナル商品です。
  5. パナソニック ネットソリューションズ株式会社はパナソニック インフォメーションシステムズ株式会社の100%子会社です。

パナソニックISに相談してみる

当社担当からひとこと

菅 謙次
今回のシステムが、住民の方や職員の方にもご満足いただけ大変うれしく思います。由利本荘市様にとって、防災・観光の分野において有益にご活用いただいていると考えております。引き続き、ArgosViewの更なるご活用の促進と、安全・安心のお手伝いをさせていただきたいと思います。
取材︓2014年11月5日 
※当サイトに記載された社名および商品名などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。
※当サイトの記載内容は取材日時のものです。内容および対象商品については、予告なく変更する場合があります。
CONTACT

ITソリューションでお悩みの
企業ご担当者の方は、お気軽にご相談ください。

ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください
お役立ち資料は
こちらから