データ分析基盤とは?構成する要素や必要性を解説
近年、SaaSをはじめとする幅広いクラウドサービスがビジネスシーンで活用されており、それとともに企業が取得できるデータの種類が大幅に増えています。「ビッグデータ」と呼ばれるこれらの情報を経営に活かすためには、データを適切に収集・分析するための仕組みが欠かせません。
データの収集から加工、分析までの流れを一元化することで、管理工数の削減や属人化の抑制につながります。このような基盤のことを、「データ分析基盤」といいます。
本記事では、データ分析基盤の仕組みや構成要素、メリット、具体的な構築方法などを詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.データ分析基盤とは
- 2.データ分析基盤を構成する要素
- 2.1.データを集める
- 2.2.データを貯める
- 2.3.データを分析用に加工する
- 2.4.データを分析して可視化する
- 3.データ分析基盤が必要とされる理由
- 3.1.データドリブンな経営の実現
- 3.2.データの安全な管理と高品質化
- 3.3.属人化の解消につながる
- 3.4.業務の自動化が進む
- 3.5.コスト削減ができる
- 4.データ分析基盤の構築の流れ
- 5.データ分析基盤をもとにデータ活用に取り組もう
データ分析基盤とは
企業が取得できるデータには、さまざまな種類が存在しますが、フォーマットが異なるデータをそのままの状態で分析することはできません。そこで必要になるのが、データ収集から分析までのプロセスを統合管理するための「データ分析基盤」です。
データ分析基盤があれば、社内に存在する膨大な量のデータを1か所に集約できるだけでなく、データを適切な形で加工し、よりスムーズな分析を行うところまで実現可能です。結果として社内でのデータ活用が促進され、データドリブンな意思決定やDXの推進などにつながります。
データ分析基盤を構成する要素
データ分析基盤には、次の4つの要素が含まれています。
- データを集める
- データを貯める(データレイク)
- データを分析用に加工する(データウェアハウス・データマート)
- データを分析して可視化する
それぞれの要素について詳しく解説します。
データを集める
データの活用は、大元となる「ローデータ(生のデータ)」を収集するところから始まります。ローデータは自動的に取得できないケースも多いため、収集するための仕組みを構築することが重要です。
ローデータは、次のような方法で取得が可能です。
- Web上の行動傾向がわかるCookieを活用
- SNSのデータやECサイトのレビュー情報などを取得できるスクレイピングを活用
- Web APIでシステム同士を連携させてデータを自動収集
- POSやIoT機器、アンケート調査などからプライマリデータ(一次情報)を取得
- Web上に公開されているセカンダリデータ(二次情報)をダウンロード
社内基幹・業務システムからデータを収集する
データを貯める
データを収集しただけでは、社内のさまざまなシステムにローデータが散在することになります。そのため、散在するローデータを1ヶ所に集約するための、データレイクといったツールが必要です。
データレイクとは、表や画像、音声など、あらゆる種類のデータを保管できる場所(リポジトリ)のことです。データレイクにローデータを保管しておくことで、加工後に元のデータが必要になった場合でも、入手が可能になります。
データを分析用に加工する
データレイクには、取得したデータがそのままの状態で保存されるため、表やグラフなどの構造化データや、画像や音声といった、そのままでは分析が難しい非構造化データが混在しています。
さらに、JSONやXMLなどフォーマットも統一されていない状態で保存されるため、分析しやすいようにデータを加工しなければなりません。
データレイクに蓄積されたデータは、分析できる状態に加工したうえでDWH(データウェアハウス)に格納されます。その中から特定の目的に応じて分析に使用するデータのみを取り出し、最適な形に加工したものを「データマート」と呼びます。
加工済みのデータをDWHに集めておくことで、分析をスムーズに進めることができます。
データを分析して可視化する
データマートに格納された加工済みのデータが準備できたら、分析のステップに移ります。分析には、BIツールやExcelなどのツールを活用するほか、予測精度を高めるために機械学習を組み込むケースもあります。
BIツールには、グラフや表による分析結果の可視化や、レポート作成の自動化といった機能が搭載された製品が多く、分析業務の効率化が可能です。上司や取引先に資料を提出する場合は、誰が見ても内容が一目で把握できるように分析結果を可視化しましょう。
また、機械学習を活用すると、数値や画像などをAIが判別し、自動分析を行います。蓄積されたデータを効率良く分析できるほか、需要予測や不正検知、レコメンデーションなどの多様なケースに応用できるのがメリットです。
データ分析基盤が必要とされる理由
データ分析基盤が必要な理由は、基盤の構築によって次のようなメリットが生まれるためです。
- データドリブンな経営の実現
- データの安全な管理と高品質化
- 属人化の解消につながる
- 業務の自動化が進む
- コスト削減ができる
一つずつ確認していきましょう。
データドリブンな経営の実現
データ分析基盤が整っていると、ローデータはデータレイクに、構造化済みのデータはDWHに、加工済みのデータはデータマートに格納されることになるため、わかりやすく情報が整理されます。
データ管理の基盤が整うことで活用が促進され、客観的なデータを駆使した意思決定が組織に浸透します。その結果、企業全体でデータを活用しようとする意識が芽生えるため、勘や経験に頼った経営判断からの脱却が可能です。
また、情報を探す手間を省けるため、現場担当者のストレス軽減も期待できます。
データの安全な管理と高品質化
構造や種類が統一されていない状態でデータがシステムに保管されていると、活用の際にヒューマンエラーが発生しやすくなります。また、保管されているデータそのものの質が低下する可能性も考えられるでしょう。
データ分析基盤を整えると、あらゆるデータが一元管理されている状態になります。そのため、データの種類や表記に誤りがあれば、即座に修正が可能です。また、複数の部署で同様のデータを利用する場合でも、組織ごとにデータの構造が異なるような事態を避けられます。
属人化の解消につながる
データ分析基盤があれば、データレイクやDWHといった特定のプラットフォームにデータが集約されます。社内の複数のシステムにデータが存在することがなくなり、誰でもデータにアクセスが可能になるため、属人化の防止につながります。
業務の自動化が進む
データ分析基盤の構成要素であるDWHやデータマートには、さまざまなデータ処理を自動化できる製品もあります。
業務を自動化することで、データの収集・加工・分析までの一連の流れが効率良く進むでしょう。自動化によって節約できた時間をコア業務にあてることで、生産性の向上も期待できます。
コスト削減ができる
一元的なデータ管理は、工数の削減やヒューマンエラーによる手戻りの抑制につながるため、全体的に管理コストを抑えられる可能性があります。また、自動化の仕組みを取り入れることで、人件費の削減にもつながるでしょう。
データ分析基盤の構築の流れ
データ分析基盤を構築する手順は、次のとおりです。
データ基盤構築の目的を明確にする
運用体制を固める
データ基盤の設計・開発を行う
データ基盤のテスト検証を行う
データ基盤の運用・改善をする
データ分析基盤には、データレイクやDWHなど、専門的な知識を要する複数のシステムを用意しなければなりません。ツールの導入や社内体制の整備などに工数がかかるため、明確な目的やスケジュールを設定することが大切です。
また、データ分析基盤の構築には、それぞれのシステムを個別に導入する方法と、AWSやGoogle Cloudといったクラウドプラットフォームを活用する方法があり、手順が大きく異なります。自社のリソースや予算をもとに要件を洗い出したうえで、適切な方法を検討しましょう。
詳しい進め方や構築方法については、こちらの記事で解説しています。
データ分析基盤をもとにデータ活用に取り組もう
データ分析基盤は、企業活動で取得したデータを最大限に活用するうえで重要な役割を果たします。基盤が整っていれば、データ収集・加工・分析までの一連のプロセスを効率化できるだけでなく、データドリブンな経営やDXの推進につながるでしょう。
基盤の構築には、データレイクやDWHなどに格納されているデータの連携が必要です。
パナソニック インフォメーションシステムズが提供する「ASTERIA Warp」を活用すると、専用のアダプタを導入するだけで連携作業を完了させることができます。また、データの抽出や変換、書き出しといった処理をワンストップで実現できるのもメリットです。
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