ETLとは?処理における機能やツール導入のメリットを解説
ETLは、Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(書き出し)の頭文字を取ったもので、システム間のデータ統合に必要なプロセスです。ETLツールは、ETLを実行するためのシステムであり、さまざまなデータソースからDWH(データウェアハウス)への移行をスムーズにするために使用されます。
本記事では、ETLツールの仕組みや代表的な機能、導入のメリットを詳しく解説します。データの抽出や変換を手間なく行いたい方は必見です。
目次[非表示]
- 1.ETLとは
- 2.ETLツールの機能
- 2.1.Extract(抽出)
- 2.2.Transform(変換)
- 2.3.Load(書き出し)
- 3.ETLツールが必要とされる理由
- 4.ETLツールを導入するメリット
- 4.1.データの管理にかかる工数が減る
- 4.2.データ品質を確保できる
- 4.3.生産性の向上につながる
- 5.ETLツールを活用して業務の負担を減らそう
ETLとは
ETLとは、Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(書き出し)の頭文字を取ったもので、ETLの一連の作業を実行できるシステムを「ETLツール」といいます。
データの抽出・変換・書き出しは、複数のシステム間でデータを統合する際に発生するプロセスです。ETLツールは、データソースから必要なデータを抽出し、適切な加工を行ったうえで、データベースやDWH(データウェアハウス)へと書き出しを行う目的で使用されます。
ETLツールを使用せずにデータの移行作業を行う場合は、それぞれの処理を別のシステムで実行しなければなりません。ETLという概念が生まれたことにより、データをワンストップで抽出・変換・書き出しを実施する作業が可能になり、データ統合時の手間や負担が大幅に軽減されました。
ETLツールの機能
ここでは、ETLの3つの機能であるExtract(抽出)・Transform(変換)・Load(書き出し)について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
Extract(抽出)
まずは、Extract(抽出)のプロセスです。
データソースには、さまざまな種類のデータが保管されているのが一般的です。設定された判定条件に従って、ETLツールが対象となるデータを抽出することで、必要なデータのみを移行できるようになります。
また、データソースには一般的に、構造化データと非構造化データ、JSONやXMLなど、形態や形式の異なるデータが入り混じった状態で存在します。このようなデータを、統一化されたフォーマットとして指定できるのもETLツールの特徴です。
Transform(変換)
Transform(変換)のプロセスでは、抽出したデータを一定の規則にもとづいて変換・加工します。
データを変換するには、例として次のような方法があります。
変換方法 |
概要 |
クレンジング |
重複データの排除やデータの表記揺れの統一・補完といった整形を行う |
マッピング |
入力側のデータ項目を出力側のデータ項目へ、データの加工・編集も含めて変換する |
マージ |
異なるデータソースを集約・統合する |
ETLツールを活用することで、出力先に応じた操作を行うことが可能になります。ただし、適切な設定を行うには、出力先となるシステムの技術要件やユーザーニーズへの考慮が必要です。
Load(書き出し)
Load(書き出し)のプロセスでは、変換したデータを出力し、データベースへと格納します。
従来、このようなETLのプロセスを実行するには、プログラミングのスキルが必要でした。しかし最近では、ノーコードで処理を実行できるETLツールを活用する企業が増えています。また、出力後のエラーについても、リアルタイムの検出や確認が可能です。
ETLツールが必要とされる理由
ETLツールが登場する以前は、データソースからデータベースへとデータを移行するために、膨大な工数や費用がかかっていました。
たとえば、データを出力するために、複数のシステムを経由しなければならず、場合によっては、Excelを使って手作業でフォーマット変換を行わなければならないケースもあります。 移行に伴い、手作業によるフォーマット変換を行わなければならないケースもあります。さらに、データの変換や書き出しにはプログラミングの記述が求められるため、社内にエンジニアがいないと対応できないのも難点です。
ETLツールを活用すれば、抽出・変換・書き出しまでの流れをワンストップで実行できるため、先述したような課題がすべて解決します。最小限の工数で作業が完了するため、業務効率化や生産性向上も実現可能です。
ETLツールは、企業内のデータ統合に欠かせないものになりつつあります。
ETLツールを導入するメリット
ETLツールの費用対効果を検証するためには、あらかじめ導入のメリットを理解することが重要です。ETLツールを導入する主なメリットは、次の通りです。
- データの管理工数の負担が減る
- データ品質を確保できる
- 生産性の向上につながる
データの管理にかかる工数が減る
社内に複数のシステムが存在すると、データを連携するためのツールやプログラムも増えます。それによって管理に手間がかかり、組織の生産性が低下することもあるでしょう。
ETLツールによるデータ連携では複数のモジュールの統合が可能で、データ連携の方法を標準化できます。複数のシステムからデータを抽出する場合でも、ETLツールのみで連携対応できるため、工数の削減が可能です。
データ品質を確保できる
データの抽出・変換・書き出しのプロセスでヒューマンエラーが発生すると、手戻りによる修正の手間がかかります。たとえ小さなミスであっても作業が止まってしまうため、データの移行では品質の確保も重要です。
ETLツールを導入すると、一連のプロセスを自動的に処理できるため、ヒューマンエラーの発生リスクを最小限に抑えられます。データの正確性と一貫性を確保できることも、ETLツールを導入するメリットの一つといえるでしょう。
生産性の向上につながる
ETLツールは、業務効率化だけでなく、生産性の向上にも効果を発揮します。
ETLツールはノーコードでデータ移行が可能で、プロセス全体も自動化できます。これによって、データの抽出や変換に費やしていたリソースを別の業務へと割り当てられます。従業員がコア業務に注力することで、組織全体で生産性向上が期待できるでしょう。
ETLツールを活用して業務の負担を減らそう
複数のシステムからDWHへとデータを移行するには、本来であれば膨大な工数や費用が発生します。ETLツールを導入することで、データの抽出から変換、書き出しまでのプロセスを、統合されたインターフェースで自動的に実行可能です。
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