
ETLの基本がわかる!データ活用を成功に導く機能とメリット
現代ビジネスにおいて、「データ活用」は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
しかし、企業内に散在する膨大な「データ量」や、異なるシステムに格納されたデータの統合・「データ変換」は、多くの企業にとって大きな課題です。「データ分析」や「データ活用」を促進するためには、これらの課題を効率的に解決する仕組みが不可欠です。
本記事では、その解決策となる「ETL」の概念から、その処理を実行する「ETLツール」の仕組み、主要な機能、そして導入によって得られる具体的なメリットまでを詳しく解説します。増大するデータへの対応や、データに基づいた意思決定を加速させたい方は必見です。
目次[非表示]
- 1.ETLとは
- 2.ETLツールの機能
- 2.1.Extract(抽出)
- 2.2.Transform(変換)
- 2.3.Load(書き出し)
- 3.ETLツールが必要とされる理由と導入メリット
- 3.1.増大するデータへの対応と工数削減
- 3.2.データ品質の確保と分析精度の向上
- 3.3.生産性向上と迅速なデータ活用
- 4.ETLツールを活用して業務の負担を減らそう
ETLとは
ETLとは、Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(書き出し)の頭文字を取ったもので、ETLの一連の作業を実行できるシステムを「ETLツール」といいます。
データの抽出・変換・書き出しは、複数のシステム間でデータを統合する際に発生するプロセスです。ETLツールは、データソースから必要なデータを抽出し、適切な加工を行ったうえで、データベースやDWH(データウェアハウス)へと書き出す目的で使用されます。
企業が保有する「データ量」は年々増加し、その種類や形式も多様化しています。これらの膨大なデータを「データ分析」や「データ活用」に役立てるためには、様々なデータソースから必要なデータを正確に「抽出」し、分析に適した形に「データ変換」し、最終的な格納先に「書き出す」一連のプロセスが不可欠です。
ETLツールは、これら一連の複雑な処理をワンストップで実行できるシステムであり、データ統合における手間や負担を大幅に軽減するだけでなく、データ活用のスピードアップに貢献します。
ETLツールの機能
ここでは、ETLの3つの機能であるExtract(抽出)・Transform(変換)・Load(書き出し)について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
Extract(抽出)
まずは、Extract(抽出)のプロセスです。
データソースには、さまざまな種類のデータが保管されているのが一般的です。設定された判定条件に従って、ETLツールが対象となるデータを抽出することで、必要なデータのみを移行できるようになります。
また、データソースには一般的に、構造化データと非構造化データ、JSONやXMLなど、形態や形式の異なるデータが入り混じった状態で存在します。このようなデータを、統一化されたフォーマットとして指定できるのもETLツールの特徴です。
Transform(変換)
Transform(変換)のプロセスは、抽出したデータを「データ分析」や「データ活用」に適した形に「データ変換」・加工する重要な工程です。この「データ変換」の質が、その後のデータ分析の精度や活用範囲を大きく左右します。
データを変換するには、例として次のような方法があります。
変換方法 |
概要 |
クレンジング |
重複データの排除やデータの表記揺れの統一・補完といった整形を行う |
マッピング |
入力側のデータ項目を出力側のデータ項目へ、データの加工・編集も含めて変換する |
マージ |
異なるデータソースを集約・統合する |
ETLツールを活用することで、出力先に応じた操作を行うことが可能になります。ただし、適切な設定を行うには、出力先となるシステムの技術要件やユーザーニーズへの考慮が必要です。
Load(書き出し)
Load(書き出し)のプロセスでは、変換したデータを出力し、データベースへと格納します。
従来、このようなETLのプロセスを実行するには、プログラミングのスキルが必要でした。しかし最近では、ノーコードで処理を実行できるETLツールを活用する企業が増えています。また、出力後のエラーについても、リアルタイムの検出や確認が可能です。
ETLツールが必要とされる理由と導入メリット
現代社会では、「データ量」の爆発的な増加と、データソースの多様化が同時に進行しています。これにより、企業は以下の課題に直面し、ETLツールの導入が不可欠となっています。
増大するデータへの対応と工数削減
企業内に散在する複数のシステムから必要な「データ抽出」を行い、それを統合するには、手作業や個別のプログラミングでは膨大な工数と時間、そして費用がかかります。特に「データ量」が増え続ける現代において、これらの作業を人の手で行うことは非効率的であり、限界があります。
ETLツールは、これらのデータ連携プロセスを自動化・標準化することで、大幅な工数削減とコスト最適化を実現します。
データ品質の確保と分析精度の向上
手作業による「データ変換」やデータ移行では、誤入力や表記揺れといったヒューマンエラーが発生しやすく、データの正確性や一貫性が損なわれるリスクがあります。不正確なデータは、その後の「データ分析」の精度を著しく低下させ、誤った意思決定に繋がりかねません。
ETLツールは、定められたルールに基づき自動で処理を実行するため、ヒューマンエラーのリスクを最小限に抑え、高精度な「データ品質」を確保します。これにより、信頼性の高い「データ分析」が可能となり、「データ活用」の価値を最大化できます。
生産性向上と迅速なデータ活用
ETLツールによるデータ統合プロセスの自動化は、これまでデータの収集・加工に費やされていた時間やリソースを大幅に削減します。これにより、従業員は定型的な作業から解放され、より戦略的な「データ分析」や、顧客対応といったコア業務に集中できるようになります。
結果として、組織全体の生産性が向上し、ビジネス環境の変化に迅速に対応するための「データ活用」が加速します。ノーコードで操作可能なツールも多く、専門知識がなくてもデータ連携を実現できるため、IT部門だけでなく、各ビジネス部門での「データ活用」を促進できる点も大きなメリットです。
ETLツールを活用して業務の負担を減らそう
複数のシステムからDWHへとデータを移行するには、本来であれば膨大な工数や費用が発生します。ETLツールを導入することで、データの抽出から変換、書き出しまでのプロセスを、統合されたインターフェースで自動的に実行可能です。
パナソニック インフォメーションシステムズは、データ連携ツール「ASTERIA Warp」を提供しています。
ASTERIA Warpは、今回紹介したETL機能に加えて、複数のシステム同士のデータをスムーズに統合できるのが特徴です。ノーコードでデータ連携を簡単に実現できるだけでなく、処理内容も可視化できるため仕様変更にも対応しやすく、データ連携が初めての方でも迷うことなく操作できます。詳しくは、以下のページをご覧ください。