急速に売り上げが伸びる中、お客さまへのサービスレベル向上のためには、今までサポート拠点ごとに導入していた「コールトラッキングシステム」 (お客さまからのお問い合わせや電話での受注を管理するシステム)や「フルフィルメントシステム」(お客さまの受注~在庫管理~出荷~請求~入金までを一括管理するシステム)を一元化し、 情報の統合化や業務スピード向上を実現する必要がありました。そこで、主に2つの課題について、課題解決に向けて取り組みました。
「当社では2拠点のコールセンターを運営、それぞれ別々のコールトラッキングシステムを運用していました」とデアゴスティーニ・ジャパンの松尾氏。 2拠点間にはシステム連携の仕組みがなく、それぞれのお客さま情報や問い合わせ情報を共有することができないため、同じお客さまが別拠点のコールセンターへ連絡をした場合、重複した内容を改めて伺うという問題がありました。 また、コールトラッキングシステムとフルフィルメントシステムのデータ連携がないため、Microsoft Excel(以下、Excel)を介してデータの受け渡しが行われていました。「お客さまのご注文をいただくECの仕組みは完成されていたにも関わらず、電話で受けたご注文を処理する受注の仕組みがニーズに合わないものとなっていました」と下里氏。
例えば、アフターサービスで、パーツの再出荷手続きを行う際、Excelに一旦データ入力し、さらに受注システムへ手入力で登録するために、配送遅れや配送ミス等の問題が発生していました。下里氏によると、以前のシステムでは「各データを人間が手作業で1件1件チェックし、重複注文など問題がないことを確認し、初めてフルフィルメントシステムに受注データを流し込むという処理を毎日夜間に行っていたのです」。しかも、Web注文→受注登録→出荷の手続きをお客さまごとに進めるのではなく、手作業でのチェックが完了したものより順次、各処理をバッチ処理で行っていたのです。また、「バッチ処理中は契約入力が停止するため、電話でのご注文データ入力作業が遅れ、商品配送が遅延することも度々発生しました」と松尾氏。
コールセンターのシステムを一本化してお客さまの利便性をあげたいという強い思いと、データをリアルタイムに連携し作業の効率化を図りたいという狙いの元、2009年から、新システム導入に向けた取り組みを開始。システム選定に当たり最も重要視したのは「お客さまへ安心をお届けできるシステムであること」だったと下里氏は語ります。それに加えて、パナソニックISが提供中の「コールトラッキングシステム+ERP+EAIツール」を組み合わせた提案モデルが、「当社のニーズを最大限に満たしていました」と下里氏。そして2011年11月、パナソニックISの提案する、「eSmileCall」(コールトラッキングシステム)、「GRANDIT」(フルフィルメントシステム)、そして「ASTERIA」(システム間連携ツール)を統合した基幹システム“Phoenix”が稼働しました。