10TBのデータをわずか2.5時間で移行。過去に類を見ないスピード
――Oracle Exadataマネージドサービスへの移行プロセスとパナソニックISの対応についてお聞かせください。
五十嵐氏 今回のプロジェクト期間中には、乗り越えるべき大きな課題がありました。それは、この5年間で約3倍にまで膨れ上がった膨大なデータ量です。5年前のリプレース時には、データ転送に約7時間、全体作業には約19時間を要しており、単純計算では今回その3倍の時間を要することになります。この移行時間は当社のサービス停止時間に相当するため、お客様にご迷惑をおかけしてしまいます。
データ増加に伴う移行時間の延長は避けられないと覚悟していましたが、パナソニックISから、移行時間を大幅に短縮できる画期的なご提案をいただきました。驚くべきことに、その提案は米オラクルの開発者と直接ディスカッションを重ね、非常に高速なアップグレード手法を確立したというものでした。
具体的には、Oracle Database 19cから最新の23aiへのバージョンアップにおいて、異なるバージョン間でデータベース全体のリフレッシュ同期を実現。移行当日は、最終同期とバージョンアップによる切り替えのみで、短時間でのデータ同期とバージョンアップを可能にするという内容でした。テスト環境でのシミュレーションも繰り返し実施しており、低リスクという点も検証済みとのこと。エビデンスとなる具体的な検証データをご提示いただいたことで、我々はこの革新的な提案の実施を決断いたしました。
結果、10TBあるDBをわずか2.5時間の停止時間で移行でき、その時間内でOracle Database 19cからOracle Database 23aiへのバージョンアップまで完了しました。全体の作業は約13時間と、5年前よりも早く終えることができました。オラクル社曰く、ここまでのスピードは他に類を見ないそうです。また、Oracle Database 23aiの商用環境としての稼働は国内初とのこと。パナソニックISの技術力には大変感謝しています。
オンプレミスから最短で移行するために事前にOracle Database 23ai上にPDBをクローン。最終同期後バージョンアップをすることで大規模データベースを短時間でバージョンアップ