EAIとは?仕組みや導入に向けて確認したいポイントを解説
目次[非表示]
- 1.EAI(Enterprise Application Integration)とは
- 2.EAIの仕組みと基本機能
- 2.1.データ変換機能
- 2.2.トリガー機能
- 2.3.エラーハンドリング機能
- 3.ETL、EDI、ESBとは 何が違う?
- 4.EAIツールを導入するメリット
- 4.1.専門知識がなくても運用できる
- 4.2.開発・運用などコストの削減ができる
- 4.3.業務効率化が実現できる
- 4.4.データの正確性・信頼性があがる
- 5.EAIツールを導入するにあたって確認したいこと
- 5.1.ツールを選ぶときのポイント
- 5.1.1.連携先の充実度
- 5.1.2.操作・運用のしやすさ
- 5.1.3.サポート体制
- 5.2.導入前に社内で確認したいポイント
- 5.2.1.連携したいシステムがどの程度あるか
- 5.2.2.既存ツールや業務の見直し
- 5.2.3.ツールの導入・運用コストの確認
- 6.EAIまとめ
ビジネスシーンでクラウドサービスが普及した現在、社内でさまざまなシステムを活用する機会が増えています。このような環境下では、システム上で幅広いデータを活用できることが便利な反面、「顧客情報を複数のシステムで保持していて、同期がとれていない」「活用したいクラウドサービスには連携できていない情報が、社内システムのオンプレ環境にある 」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。
クラウドや社内DBに分散しているデータを集約するという課題を解消できるのが、今回ご紹介するEAIです。
EAIは、社内外にあるシステムの膨大なデータをスムーズに統合できるツールです。ドラッグアンドドロップやマウス操作でデータを連携できるため、高度な知識が求められるスクラッチ開発を最小限に抑えられます。
本記事では、EAIの仕組みやメリット、導入する際に考えるべきポイントをご紹介します。データ統合やシステム連携に課題を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
EAI(Enterprise Application Integration)とは
まずは、EAIの基礎知識を押さえましょう。ここでは、EAIの仕組みや機能、ETLとの違いを詳しく解説します。
EAI(Enterprise Application Integration / 企業アプリケーション統合)とは、社内で使用しているさまざまなシステムを連携し、データを統合させるためのツールです。データの一元化やシステム間のデータマッピングによる加工処理、連携先システムへ接続する機能を備えています。
従来、システム間でデータを連携するには、スクラッチ開発でいちから構築する方法が主流でした。スクラッチ開発は自社の要件に合わせて仕様を柔軟にカスタマイズできますが、完成するまでに連携システムのインターフェースに関わる専門知識が必要、また開発者が退職した場合にメンテナンスしづらいといった難点が存在します。
その点、EAIは、ノーコードかつ直感的な操作でデータ連携を実現できるツールが少なくありません。エンジニアがいなくても自社システムを構築できる点や、開発工数を削減できることがEAIのメリットだといえるでしょう。
EAIの仕組みと基本機能
EAIは、連携元システムからアダプターを使ったデータの取得、アダプターから受け取ったデータを、別のデータフォーマットへ変換、アダプターを使った連携先システムへデータの受け渡し処理を行います。
このうち、特にアダプターの種類は連携できるシステムの数に直結するため、EAIを選ぶうえで重要な要素となります。
たとえば、EAIツールのひとつ「ASTERIA Warp」を例に挙げると、Excelファイルからデータを抽出するための「Excelアダプター」や、クラウド型CRM/SFAシステムのSalesforce と連携できる「Salesforceアダプター」などの多くのアダプターがあります。
EAIの基本機能で代表的な3つを紹介します。
データ変換機能
異なるフォーマットのデータを統一する「データ変換機能」は、EAIツールの中核です。たとえば、XML形式とCSV形式のデータを一貫性のある形式に変換し、各システムが相互に理解可能な形で情報を交換します。この機能により、システム間の互換性を保ちながら効率的なデータ連携が可能となります。
トリガー機能
EAIツールの「トリガー機能」は、特定の条件が満たされたときに自動的に処理を開始する仕組みです。たとえば、新しいデータがシステムに入力された際や、定期的な時間帯にデータ処理を行うなど、システム間の連携タイミングを自由に設定できます。この機能により、リアルタイムに連携したり、手動操作を減らして、迅速な処理が可能となります。
エラーハンドリング機能
EAIツールの「エラーハンドリング機能」は、データ処理中のエラーを検知し、適切な対処を行う役割を持ちます。エラー発生時には、通知を行い問題箇所を特定することで、業務の中断を最小限に抑えます。これにより、システムの安定性が向上し、ビジネスプロセスの信頼性も確保されます。
ETL、EDI、ESBとは 何が違う?
EAIと似ているツールと比較してみましょう。
ETLとの違い
EAIとよく似た言葉に、ETL(Extract Transform Load / データの抽出・変換・書き出し)があります。ETLとは、複数のシステムに蓄積されたデータをBIツールなどで分析できるよう、データ連携抽出やデータ変換、データロードといったデータ統合処理に特化したツールです。
いずれもシステム・アプリ間のデータ連携が可能なツールですが、EAIはデータ変換以外にも、上位のビジネスロジックも含めてシステム間の連携を制御できる機能を搭載しており、ETLは複雑なデータ加工やクレンジングに対応できる特徴があります。
ただし、最近のEAIツールとETLツールは、標準搭載機能が強化・拡張され、それぞれの差異が徐々に縮小しつつあります。また、両者は同じような操作ができるため、将来的な拡張性も考慮し、ETLの用途でEAIツールを導入する場合も珍しくありません。
EDIとの違い
EDI(電子データ交換)ツールは、主に企業間の標準化されたデータフォーマットで取引情報を交換するためのツールです。一方、EAIツールは企業内の異なるシステムやアプリケーションを連携させることを目的としています。EDIがB2B(企業間取引)を重視するのに対し、EAIは企業内部のシステム統合に焦点を当てています。
ESBとの違い
EAIツールは、異なるシステム間の統合を目的とし、主にデータ変換やメッセージルーティングを行います。一方、ESB(エンタープライズサービスバス)は、より広範な企業全体のシステム間通信のインフラを提供する役割を担い、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の実現を支援します。EAIが統合ツールなら、ESBは統合基盤という位置づけです。
このように、ETL、ESB、EDIツールはそれぞれ異なる目的や範囲に対応していますが、EAIは内部統合に特化した強力なツールです。
EAIツールを導入するメリット
EAIツールを導入するとどのようなメリットが生まれるのか、ここでは4つのポイントをご紹介します。EAIツールの導入前に具体的な効果をイメージすると、自社における活用シーンを想定しやすくなります。
- 専門知識がなくても運用できる
- 開発・運用などコストの削減ができる
- 業務効率化が実現できる
- データの正確性・信頼性があがる
専門知識がなくても運用できる
EAIツールは専門知識が不要で、エンジニアの手を借りずにシステムの開発や運用を行えます。
EAIツールを導入せずにデータ連携を行うとなれば、前述したようにスクラッチ開発でシステムを構築するケースが一般的です。このような環境下では、プログラミングの高度な知識・技術が求められます。
一方のEAIツールは、ドラッグアンドドロップをはじめとするノーコードでデータ連携の開発が可能です。
例えば、特定フォルダからCSVファイルを取得し、そのデータをRDB(リレーショナルデータベース)に登録する場合、「CSVファイル取得・データ変換・RDB登録」の3つのアイコンを並べて、各アイコンの動作を設定するだけで一連のフローが完成します。また、各作業の条件をマウス操作で指定できるのも特徴です。
(※製品によって仕様が異なります)
参考:ASTERIA Warpのフロー作成画面
社内にエンジニアがいない、または連携先のインターフェース知識が不足している場合でも、部門や部署を問わずにデータ連携を行えるのがEAIツールのメリットです。
開発・運用などコストの削減ができる
EAIツールを活用すれば、スクラッチ開発を行う際に必要だった連携先のインターフェース仕様の調査やプログラム開発などの作業が不要になります。結果としてシステム開発にかかる時間が短縮でき 、開発コストの削減につながります。
また、人件費や教育費を削減できるのもEAIツールのメリットです。
ノーコードの特徴から、スクラッチ開発よりも短期間に開発スキルを習得できます。
スクラッチ開発よりも効率よく開発できるので、人件費削減につながることや、社内エンジニアをリスキリングし、外部ベンダーに開発委託するよりも、内製化により費用削減を目指せます。
業務効率化が実現できる
EAIツールは、「データ取得~変換~データベース登録」といったフローを設定すると、データ連携までの作業はすべて自動的に実行されます。独自のプログラムを組み、手作業でデータ連携を行う場合に比べ、業務の効率性が大幅に向上するのがメリットです。
各システムとの連携方法についても、連携先システムのインターフェースの情報を収集せずに済みます。EAIツールは、各システムに対応するアダプターを設定するだけで で連携が完了するからです。
特に、社内で多くのシステムを活用している企業ほど、EAIツールの導入によって業務効率化の恩恵を得やすいといえるでしょう。
データの正確性・信頼性があがる
データ連携のフローを自動化させることで、業務全体の正確性が向上します。
手作業で複数のデータ処理を行う際は、一つひとつのデータの整合性を目視で確認する必要があり、抜け漏れが起こりがちです。EAIツールであれば、このようなヒューマンエラーを防げます。
また、EAIツールを利用することにより、開発現場で発生しやすい属人化の抑制につながるのも利点です。チーム内で業務の引き継ぎを行う場合でも、「開発した本人にしかシステムの仕様がわからない」といった事態を避けられます。
▼EAIを活用する9社の実例を紹介! お役立ち資料はこちら
EAIツールを導入するにあたって確認したいこと
EAIツールを導入する際は、あらかじめ社内体制を整え、自社の要件に合う製品を選び分けることが大切です。ここでは、ツールを選ぶときの比較要素や社内で確認すべきポイントをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ツールを選ぶときのポイント
EAIツールを選ぶ際は、次の3つの要素を比較・検討すると良いでしょう。
- 連携先の充実度
- 操作・運用のしやすさ
- サポート体制
ツールの導入前に各製品の違いを明確にすることで、自社にとって最適なEAIツールを見つけやすくなります。
連携先の充実度
EAIツールを選ぶうえで、連携できるシステムの充実度は重要な要素です。数多くのシステムと連携できるEAIツールを選ぶことで、個別での開発が不要になります。
そのため、ツールの導入前にアダプターの種類を確認しましょう。約50~100種類のアダプターに対応していれば、連携先が充実しているEAIツールだといえます。なかでも、続々と登場する最新のシステムにいち早く対応できるEAIツールは、拡張性に優れます。
また、連携を考えているシステムに対応しているかどうかを、事前に確認することも大切です。たとえアダプターの種類が多くても、自社の連携したいシステムに対応していなければデータ連携ができないからです。
操作・運用のしやすさ
アダプターの種類や数のほか、ユーザーインターフェースの使い勝手や操作性を確認することも重要です。ノーコードでデータ連携が可能なEAIツールでも、どの程度の知識レベルで操作できるのかをチェックすると良いでしょう。
EAIツールのなかには、無料トライアルを利用できるものがあります。トライアル期間中に操作性や機能性を検証すれば、自社の要件に即したEAIツールを選びやすくなり、結果として開発者がストレスなくツールを利用できます。
トライアル期間中やツール導入直後に運用テストを行い、データ変換の精度を確かめることも大切です。正確にデータ処理が行われているか、データ変換後の正確性を的確にチェックできているかといった点を検証しましょう。
サポート体制
システム障害やシステムエラーなどの事態を想定し、サポート体制が充実しているベンダーを選びましょう。EAIツールの運用中にひとたびトラブルが発生すると、データ連携ができず、さまざまな業務に悪影響を与える可能性があるからです。
ベンダーが提供しているサポートには次のような種類があります。
- 電話によるメンテナンスサポート
- FAQサイトやマニュアルによる情報提供
- 技術情報の共有ができるコミュニティフォーラム
- トレーニングプログラム
さらに、海外製品の多いEAIツールにおいて、日本語でサポートを受けられるかという点も重要です。同時に問い合わせ窓口の対応時間や、サポート料金の有無もチェックすると良いでしょう。
導入前に社内で確認したいポイント
EAIツールの導入前に社内で確認したいポイントは次の通りです。
- 連携したいシステムがどの程度あるか
- 既存ツールや業務の見直し
- 導入コストの確認
連携したいシステムがどの程度あるか
社内で利用中のシステムを洗い出し、データ連携が必要なものをピックアップしましょう。
EAIツールは、製品ごとにデータの処理能力が異なります。連携させるシステムの種類が多いほど、処理すべきデータやトランザクションの総量が増え、EAIツールの処理能力を超えた場合は、最悪、システム停止してしまうケースもあります。
そのため、システムの連携数をもとに、必要な処理数や情報量を明確にすることが大切です。
既存ツールや業務の見直し
EAIツールの導入を機に、既存ツールや業務内容を整理し直すのも方法のひとつです。
たとえば、複数のシステムで煩雑なデータ管理を行ってきた部分は、EAIツールに統合するのも良いでしょう。別々のシステムでデータ連携作業が似通っており、業務が重複している場合は、EAIツールに統合したほうが効率化につながります。そのうえで、形骸化してしまったシステムを廃止することも可能です。
データ連携にかかわる社内システムの統廃合は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、オペレーションコストの削減や業務プロセスの向上に寄与します。
ツールの導入・運用コストの確認
スクラッチ開発に比べて開発・運用コストの削減につながるEAIツールですが、初期費用あるいは月額利用料が発生する点には注意が必要です。自社でシステムを開発したときのコストと、ツールを導入した際のコストを比較し、正確な費用対効果を見極めましょう。
なお、初期費用や月額利用料は、ツールの性能や搭載されている機能によって大きな差があります。そのため、あらかじめ要件定義を行って必要な機能を特定することも重要です。
EAIまとめ
社内に散在する複数のシステムやアプリを統合し、スムーズなデータ連携ができるEAI。ツールを導入することで煩雑なデータ管理業務から解放されるほか、自社システムの開発・運用コストを削減できるメリットがあります。
もし、複数のEAIツールを比較・検討している方は、当社パナソニック インフォメーションシステムズが導入支援を行っている「ASTERIA Warp」を検討してみてはいかがでしょうか。
ASTERIA Warpは、国内市場で17年連続シェア1位を誇るデータ連携ツールで、10,000社以上の企業に導入されています(2024年4月時点)。アダプターの数は業界トップクラスの100種類を超え、さまざまなシステムやアプリと連携できるのが特徴です。
また、当社はASTERIA Warpに関して、20年以上の経験と500社以上の支援実績があります。
「ツールを導入して正しく運用できるか不安」「そもそもEAIの仕組みがよくわからない」という方は、当社へとお気軽にご相談ください。こちらから無料資料のダウンロードやお問い合わせが可能です。
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