製造業DXを加速する、IoTプラットフォーム選定時に考慮すべき10のチェックポイント

製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、もはや選択肢ではなく必須の取り組みといえます。少子高齢化による人手不足、設備保守の非効率、グローバル競争の激化など、企業が直面する課題は多岐にわたります。

こうした課題を乗り越える鍵として注目されているのが「IoT(Internet of Things)」の活用。その中核を担うのが「IoTプラットフォーム」です。

本記事では、製造業DXを推進する担当者に向けて、IoTプラットフォームの基本から選定ポイント、導入メリット、そして当社が推奨する事例までをわかりやすく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.IoTプラットフォームとは?基本機能と仕組み
  2. 2.IoTプラットフォームの市場動向とトレンド
  3. 3.製造業におけるIoTプラットフォーム導入のメリット
    1. 3.1.リモートメンテナンスによるコスト削減
    2. 3.2.故障予測・予知保全によるダウンタイム回避
    3. 3.3.グローバル展開への対応
    4. 3.4.スモールスタートから本番導入までの柔軟性
  4. 4.IoTプラットフォーム選定の10のチェックポイント
    1. 4.1.技術性
    2. 4.2.拡張性
    3. 4.3.柔軟性
    4. 4.4.機能拡張性
    5. 4.5.簡潔性
    6. 4.6.汎用性
    7. 4.7.セキュリティ
    8. 4.8.コストとROI
    9. 4.9.スピード
    10. 4.10.可視性
  5. 5.当社がおすすめするIoTプラットフォーム:Cumulocity
    1. 5.1.特徴
    2. 5.2.導入事例
    3. 5.3.サポート体制
    4. 5.4.料金体系
  6. 6.まとめ:製造業DXを成功に導くIoTプラットフォーム選び


IoTプラットフォームとは?基本機能と仕組み

IoTプラットフォームとは、センサーや機器などの「モノ(Thing)」をインターネットに接続し、データを収集・管理・分析・活用するための統合基盤です。IoTエコシステムにおける中核的な役割を担い、以下のような機能を提供します。

  • デバイス管理:機器の登録、状態監視、ファームウェア更新など
  • データ収集・可視化:センサーからのデータをリアルタイムで取得し、ダッシュボードで表示
  • アラート通知:異常検知時の即時通知や自動アクションの実行
  • セキュリティ管理:認証、暗号化、アクセス制御など
  • 統合・実行:他システムとの連携やアプリケーションの展開

IoTプラットフォームは、クラウド型・オンプレミス型・エッジ型など、導入形態も多様であり、企業のニーズに応じた柔軟な構成が可能です。


IoTプラットフォームの市場動向とトレンド

IoTプラットフォーム市場は、世界的に急成長を遂げています。2024年時点で世界のIoTプラットフォーム市場規模は約250億ドルに達し、2028年までに年平均成長率(CAGR)15%以上で拡大すると予測されています。日本国内でも、製造業を中心にIoT導入が進んでおり、スマートファクトリー化やエネルギー効率化、品質管理の高度化などが期待されています。

一方で、導入が進まない企業では「費用対効果が不明」「社内に運用スキルがない」「既存システムとの連携が難しい」といった課題が浮き彫りになっています。こうした障壁を乗り越えるには、導入支援体制が整ったIoTプラットフォームの選定が重要です。

技術トレンドとしては、以下の3つが特に注目されています:

  • エッジコンピューティング:データをクラウドに送る前に現場で処理することで、リアルタイム性を高め、通信コストを削減できます。製造現場での即時対応や、ネットワーク制約のある環境での活用に有効です。
  • AI連携:収集したデータをAIで分析することで、異常検知、予知保全、最適化などの高度な機能が実現可能になります。これにより、従来の定期点検から予測型メンテナンスへの移行が進みます。
  • 5G対応:高速・大容量・低遅延の通信が可能になることで、移動体や遠隔地でのIoT活用が現実的になります。特に、複数拠点を持つ製造業にとっては、拠点間のリアルタイム連携が可能になります。

主要ベンダーの動向も見逃せません。たとえば、AWSはクラウド連携に強みを持ち、AzureはMicrosoft製品との統合性が高く、Cumulocityは製造業向けに特化した柔軟な構成と導入支援体制が特徴です。自社の業態やIT環境に合ったベンダーを選ぶことが、成功の第一歩となります。


製造業におけるIoTプラットフォーム導入のメリット

製造業では、IoTプラットフォームの導入によって以下のような具体的なメリットが得られます。

リモートメンテナンスによるコスト削減

現場に技術者が赴かなくても、遠隔で機器の状態を監視・診断できるため、出張費や対応時間を大幅に削減できます。

故障予測・予知保全によるダウンタイム回避

AIによる異常検知や予測分析により、故障の兆候を事前に察知し、計画的なメンテナンスが可能になります。

グローバル展開への対応

海外拠点でも同一のプラットフォームを利用することで、統一されたデータ管理と運用が実現。各国の法規制にも柔軟に対応できます。

スモールスタートから本番導入までの柔軟性

PoC(概念実証)から始めて、段階的に本番環境へ移行できるため、リスクを抑えた導入が可能です。


IoTプラットフォーム選定の10のチェックポイント

IoTプラットフォームを選ぶ際には、以下の10項目をチェックすることで、自社に最適な製品を見極めることができます。単なる機能比較ではなく、導入後の運用や拡張性までを見据えた判断が重要です。

技術性

​​​導入・保守が容易か。ノーコード/ローコード対応やAPIの整備状況、ベンダーの技術支援体制が整っているかを確認しましょう。社内に専門人材がいない場合でも、外部支援で運用できるかが鍵です。

拡張性

デバイス数の増加に対応できるか。数百台から数万台へのスケールアップ実績があるか、ライセンス体系が柔軟かどうかも重要です。将来的な事業拡大を見据えた選定が求められます。

柔軟性

クラウド・オンプレ両対応か。ハイブリッド構成が可能か、データ主権やセキュリティポリシーに対応できるかも確認ポイントです。特に製造業では、現場にサーバーを置く必要があるケースも多いため、柔軟な構成が求められます。

機能拡張性

独自サービスを構築できるか。SDKやAPIの提供状況、外部アプリとの連携性、カスタムダッシュボードの作成可否など、拡張性の高いプラットフォームは、差別化されたサービス開発に貢献します。

簡潔性

UI/UXが直感的で使いやすいか。現場担当者でも操作できるか、トレーニング不要で使えるかがポイントです。複雑な操作が必要なプラットフォームは、現場での定着が難しくなります。

汎用性

組織内の関係者が活用できるか。製造、保守、経営層など、部門横断で使えるビューや権限管理があるかを確認しましょう。全社的な活用ができるプラットフォームは、DXの加速に直結します。

セキュリティ

認証・暗号化・規格対応が十分か。ISO27001、SOC2、GDPRなどの準拠状況、ゼロトラスト対応の有無など、セキュリティ対策が充実しているかを確認することは、企業の信頼性維持に不可欠です。

コストとROI

投資対効果が高いか。初期費用と運用費のバランス、PoCでの効果検証が可能かなど、費用対効果を定量的に評価できる仕組みがあるかが重要です。

スピード

PoCから本番まで迅速に進められるか。テンプレートや導入支援サービスの有無、導入までの平均期間などを確認し、スピード感のある展開が可能かを見極めましょう。

可視性

データの見える化ができるか。ダッシュボードの柔軟性、BIツールとの連携、リアルタイム性など、データ活用のしやすさは、現場改善や経営判断の質を左右します。

これらの観点をもとに、複数の製品を比較検討することで、自社に最適なIoTプラットフォームを選定することができます。導入後の運用や拡張性までを見据えた選定が、製造業DXの成功を左右する重要なステップです。

当社がおすすめするIoTプラットフォーム:Cumulocity

当社が推奨するIoTプラットフォームが「Cumulocity」です。Cumulocityは、製造業を中心に世界中で導入実績があり、以下のような特徴を備えています。

特徴

  • オールインワン構成:デバイス管理、データ収集、分析、アラート、セキュリティまでを一括提供
  • スケーラブルな設計:数台から数万台までのデバイス接続に対応
  • SaaS/PaaS提供:クラウドでもオンプレミスでも利用可能
  • セキュリティ対応:SOC、ISO、NIST、GDPRなどの規格に準拠

導入事例

  • 冷凍車メーカー:温度管理レポートの自動生成とリモート監視を実現
  • 産業機械メーカー:遠隔ソフトウェア更新(OTA)による保守効率化
  • エアポンプメーカー:AI分析による予防保全でコスト削減に成功

サポート体制

  • PanasonicグループのSEによる導入支援
  • PoCから本番導入、運用までのトータルサポート
  • 障害監視、保守、バージョンアップ対応も完備

料金体系

  • スモールスタート可能な基本利用料
  • データ通信頻度やデバイス数に応じた従量課金制
    ※詳しくはお問い合わせください

Cumulocityは、製造業の現場課題に即した機能と柔軟な導入形態を備えており、DX推進の強力なパートナーとなります。


まとめ:製造業DXを成功に導くIoTプラットフォーム選び

IoTプラットフォームは、製造業DXの基盤であり、企業の競争力を左右する重要な要素です。自社の課題や目的に合ったプラットフォームを選ぶことで、リモート監視、予知保全、グローバル展開などの実現が可能になります。

当社はCumulocityの導入において、スモールスタートから本格展開までを支援します。まずはPoCから始めて、IoTによる変革を一歩ずつ進めてみてはいかがでしょうか。


※IoTソリューション「Cumulocity」はCumulocity GmbH社の登録商標です。

松尾和世司
松尾和世司
製造業向け生産管理システムの構築、インフラ運用、データセンターセキュリティ担当などを経て現職。 マーケティング施策の立案と実行および、お客様にITのトレンドや最新技術情報をお届けするエヴァンジェリストとして活動。 【資格】 ITストラテジスト/プロジェクトマネージャ(他、情報処理技術者試験 全区分) 情報処理安全確保支援士(登録番号:007992) Salesforce 認定 Service Cloud コンサルタント BCAO認定 事業継続主任管理士 他

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