
Salesforceデータ連携の選び方:3つの主要アプローチと失敗回避術
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顧客情報や営業案件情報を一元管理できるSalesforce(セールスフォース)は、外部システムとのデータ連携によって、その真価を発揮し、データ活用の可能性を大きく広げます。しかし、「どのように連携すれば良いか分からない」「自社に最適な方法はどれか」「スムーズに連携できるか不安」と感じているご担当者様も多いのではないでしょうか。
Salesforceと他システムとの外部連携には、主に3つのアプローチがあります。それぞれの特徴や活用方法を深く理解することで、自社に合った最適な連携手段を選び分け、よりスムーズなデータ活用を実現できます。なかには、プログラミング知識や高度な技術がなくても実現できる方法もあるため、社内にエンジニアがいない企業でもご安心ください。
本記事では、Salesforceと外部システムを連携する具体的な方法と、連携を成功させるために事前に検討すべき重要ポイントを詳しく解説します。
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Salesforceとデータ連携する方法
Salesforceと外部システムを連携するには、次の3つの選択肢があります。
連携方法 |
メリット |
デメリット |
---|---|---|
Data Loader |
ツール利用コストがかからない |
ほかの方法に比べて機能性が劣る |
Web APIの呼び出し |
自社要件に柔軟に対応できる |
高度な知識や技術が必要なほか、コーディングによる開発者の属人化が発生しやすい |
データ連携ツール(EAIツール) |
データ連携にかかわる豊富な機能を搭載している |
イニシャルコストやランニングコストが発生する |
連携方法1. Data Loader活用したファイル連携
Data Loader(データローダ)とは、Salesforceが提供するデータの読み込みや書き出しを行うためのツールです。CSVファイルなどのファイル連携による入出力や、既存データの更新といった機能が搭載されています。
Data Loaderの最大のメリットは、特別なプログラミング不要で、外部データをCSV形式で一括取り込み・書き出しできる点です。スクラッチ開発によるシステム構築が不要なため、開発コストを抑えたい場合に有効な手段といえます。しかし、より高度なAPI連携や専門のデータ連携ツールと比較すると、機能性には限界がある点に注意が必要です。例えば、Data Loaderでは、Salesforceへの入力時にデータをCSVファイルに変換する手間が発生するほか、エラー発生時の自動処理を単体で組み込むことはできません。
日々大量のデータ処理や複雑な連携が求められる環境下では、より柔軟なAPI連携や、豊富な自動化機能を備えたデータ連携ツールの活用が適しています。
連携方法2. API連携によるシステム間のリアルタイム連携
そもそもAPI(Application Programming Interface)とは、異なるシステム間で情報をやり取りするための窓口のようなものです。インターネット上で利用できるようにしたものがWeb APIであり、Salesforceも豊富なWeb APIを提供しています。
SalesforceのWeb APIを呼び出すAPI連携は、Salesforceが公開している開発者ガイドに基づき、プログラミングによって実装します。この方法の最大のメリットは、自社要件に合わせて非常に柔軟な機能拡張が可能であり、リアルタイムに近い形でのデータ連携を実現できる点です。複雑なビジネスロジックや、即時性の高いデータ活用が求められる場合に特に有効です。
※開発者ガイド:REST API の概要 | REST API 開発者ガイド | Salesforce Developers
(Salesforce社のWebサイトが開きます)
一方で、開発には高度なプログラミング知識や技術が不可欠であり、専門エンジニアの確保や教育コストが発生します。また、開発担当者の退職などにより、コードの意図が不明瞭になり属人化が進むリスクがある点はデメリットとして考慮が必要です。
SalesforceAPIの知識は不要 パナソニックISが開発するASTERIA Salesforceアダプター>>
連携方法3. データ連携ツール(EAI/ETL)を活用した効率的な外部連携
最後は、EAI(Enterprise Application Integration)やETL(Extract, Transform, Load)といったデータ連携ツールを活用する方法です。
これらのツールは、社内外の複数のシステム間でのデータ連携を効率化するために設計されています。データの抽出、変換、ロード、そして出力先の振り分けなど、多くの場合プログラミング不要でマウス操作のみで実行できるのが大きな特徴です。各システムとの接続を可能にする「アダプター」を介して、スムーズなSalesforce連携を実現するため、専門的なプログラミング知識は不要です。これにより、社内にエンジニアがいない企業でも、複雑なデータ活用基盤を構築できます。
また、基幹システムやRDB(リレーショナルデータベース)に格納された大量の顧客情報をSalesforceに統合するなど、大容量データのバッチ処理や、複数のシステムにまたがる複雑な外部連携においても効果を発揮します。
一方で、ツールの導入コストや月額利用料、保守費用といったランニングコストが発生する点は考慮が必要です。導入前には複数の製品を比較検討し、費用対効果を見極めることが重要です。
EAIとは?仕組みや導入に向けて確認したいポイントを解説 >>
Salesforceとデータ連携するにあたって考えたいポイント
Salesforceと外部システムを連携する際は、Salesforceの仕様を十分に確認しましょう。その仕様によっては、データ連携を行ううえでの条件や制約が生じる可能性があるからです。特に、次の3つの要素に関しては重点的に検討を行う必要があります。
- 連携したいデータ種別により、連携方法を考える
- 連携対象や連携のタイミングから使用するAPIを考える
- データ量・実行頻度を考える
連携したいデータ種別により、連携方法を考える
まずは、連携するシステムの種類や対象となるデータ、データ変換の必要があるプロトコルの項目などの連携対象を明確にします。そのうえで連携対象となるシステム数や項目数、データの変換数などが多い場合は、データ連携ツールの活用も視野に入れると良いでしょう。
データ連携ツールには、幅広いプロトコルに対応したデータ変換やリアルタイム処理など、膨大な量のデータ連携に必要な機能が搭載されています。よりスムーズなシステム構築を実現したい場合に役立つでしょう。
連携対象や連携のタイミングから使用するAPIを考える
次に、データ連携を行うタイミングを検討しましょう。たとえば、バッチ処理とリアルタイム処理のどちらでデータ処理を行う必要があるのか、その実行には同期と非同期のどちらが適切かといった点を考えます。
また、バッチ処理の場合は、日次ベースや週次ベースなどの実行するタイミングの検討も必要です。このような連携タイミングを検討すると、SalesforceのAPI機能を選びやすくなります。
Salesforceは、「SOAP API・REST API・Bulk API」をはじめ、外部システムと連携するためのAPI機能を標準搭載しています。各種類によってデータの処理方法が異なるため、事前に連携タイミングを明確にすることが大切です。
Salesforceに搭載されているAPI機能の種類については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
Salesforce APIとは?主なAPIの特徴や選び方を解説 >>
データ件数・実行頻度を考える
最後に、システム間でやり取りするデータ件数や実行頻度を具体的に検討します。入出力1回あたりの処理量、1日あたりに交換されるデータ件数などを試算し、将来的な増加も見越した計画が重要です。特に、SalesforceのWeb APIを利用したAPI連携を行う場合、データ量や実行頻度は非常に重要な要素となります。
Salesforceは複数のユーザーでリソースを共有するマルチテナント環境を採用しているため、一部ユーザーによる過度なリソース使用を防ぐ目的で「ガバナ制限」と呼ばれる厳しい制限が設けられています。例えば、同期処理の場合、発行されるSOQLクエリは合計100個まで、SOQLクエリによって取得されるレコードは最大50,000個までといった制約があります。そのため、自社システムのデータ量や実行頻度がこのガバナ制限を超過しないか、あるいはどのように制限内で処理を最適化するかを事前に確認・設計することが、安定したSalesforce連携とデータ活用を実現するために不可欠です。
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Salesforce連携とデータ活用のまとめ
本記事では、Salesforceと外部システムを連携するための主要な3つのアプローチ、「Data Loaderによるファイル連携」、「Web APIによるAPI連携」、そして「データ連携ツール(EAI/ETLツール)を活用した効率的な外部連携」について解説しました。
特に、大量のデータを自動連携したい場合や、社内にプログラミング経験のあるエンジニアがいないケースにおいては、ノーコード・ローコードで幅広い連携機能を実現できるデータ連携ツール(EAI/ETL)が強力な選択肢となります。
当社パナソニック インフォメーションシステムズは、このようなニーズに応えるEAIツール「ASTERIA Warp」の導入支援サービスを提供しています。ASTERIA Warpは、100種類以上のアダプターを搭載し、様々なシステムとのデータ連携を実現できるのが特長です。Salesforce専用アダプターも含まれているため、基幹システムや周辺システムとSalesforceをスムーズに連携し、ビジネスに不可欠なデータ活用を促進します。
例えば、基幹システムに蓄積された大量のマスターデータをSalesforceに一括更新したり、エラー発生時に自動的に再処理を行うなど、安定した運用をサポートします。
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