
RPA導入はどうやって進める?導入の方法や導入時のポイントなどを解説
RPA(Robotic Process Automation)とは、データ入力や帳票作成など、主にホワイトカラーの定型業務を自動化するためのテクノロジーです。定型業務の自動化により、コア業務に注力できる時間を生み出しやすいことから、RPAの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、RPAを導入するには、事前に対応業務の範囲や適用部署などを決める必要があり、思った以上にツール選定が進まないケースが多いものです。そのため、スムーズに導入手続きを進める方法や、適切なツールの選び方を理解することが大切です。
本記事では、RPAを導入する際の手順やポイントについて詳しく解説します。
※公開後内部リンク設定|RPAとは?特徴を理解して社内での活用を進めよう >>
目次[非表示]
- 1.RPAを導入するメリット
- 1.1.業務効率化による生産性の向上
- 1.2.ヒューマンエラーの抑制
- 1.3.人件費などのコストの削減
- 1.4.従業員のモチベーション向上
- 2.RPAの導入の手順・流れ
- 2.1.1.RPAを利用する目的を明確にする
- 2.2.2.RPAを利用する業務の決定
- 2.2.1.現在の業務内容の棚卸し・可視化
- 2.2.2.RPAツールの選定
- 2.3.3.テスト導入
- 3.RPAを導入するときのポイント
- 3.1.RPAの運用費用を確認しておく
- 3.2.社内の運用体制を整える
- 3.3.運用ルールを整える
- 3.4.自社の状況にあったツールを選ぶ
- 3.5.野良ロボット対策をする
- 4.RPAの導入における課題
- 5.組織体制を整えたうえでスムーズなRPAの導入を実現させよう
RPAを導入するメリット
RPAによって定型業務を自動化すると、どのような恩恵が得られるのでしょうか。ここでは、次の4つのポイントに分けて導入メリットを解説します。
業務効率化による生産性の向上
- ヒューマンエラーの抑制
- 人件費などのコストの削減
- 従業員のモチベーション向上
業務効率化による生産性の向上
RPAを導入すると、人間の代わりにロボットが特定の作業を代行してくれます。機械は人間とは異なり、24時間365日の稼働が可能なため、膨大な量の業務をまとめて処理できるのが強みです。長時間の稼働でも集中力が途切れる心配がなく、仕事の正確性や精度を維持しつつ生産性が向上します。
ほとんどの定型業務をロボットに一任すれば、従業員はより付加価値の高い業務に注力できます。
ヒューマンエラーの抑制
人の手を介して作業を行う場合は、どれだけ注意していてもヒューマンエラーを完全になくすのは難しいものです。単調な作業を長時間続けると注意力が散漫になり、ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。
その点、事前に設定した手順通りに作業を行うRPAは、より正確に業務を実施できます。結果、ヒューマンエラーが原因で生じる納期遅れや、それに伴う顧客満足度の低下といったリスクの抑制につながります。
人件費などのコストの削減
人件費をはじめとするコストを抑えられるのもRPAのメリットです。
たとえば、複数人で行なっていた作業の一部をロボットに一任すると、人数が減った分だけコスト削減につながります。繁忙期のみ臨時の従業員を雇用する機会も少なくなるでしょう。また、ヒューマンエラーが減ることで、手戻りによる修正コストを抑えられるのも利点です。
従業員のモチベーション向上
単調な作業の繰り返しは、従業員の心理的な負担になりがちです。定型業務をロボットに任せると、従業員がよりクリエイティブな作業に集中でき、モチベーションが高まる可能性があります。その結果、従業員満足度が高まり、おのずとサービス品質の向上にも寄与します。
ただし、従業員のなかには単調な作業を好む人もいます。従業員ごとのスキルや向き・不向きを考慮し、自動化する作業を選別することが大切です。
RPAの導入の手順・流れ
RPAは製品ごとに特徴が分かれ、自動化する業務との向き・不向きにも差があります。そのため、以下のような流れで事前準備を進めつつ、目的や要件に添ったRPAを選り分けることが重要です。
- RPAを利用する目的を明確にする
- RPAを利用する業務の決定
- テスト導入
1.RPAを利用する目的を明確にする
RPAの役割は業務効率化や生産性向上であることから、導入後の具体的な成果が検証しにくい難点があります。このような課題を解消するには、事前にRPA導入の目的や目標を明確にしておきましょう。
ここで大切なことは、目的・目標に数値や期間などの具体性を付与することです。
「今期の第三四半期までに納期遵守率を90%に高める」といった具体的な目標を立てることで、実績との差を確認しながら改善すべきポイントを特定できます。指標化できる目標には、ほかにも残業時間や人件費、ミス発生率などの種類があります。
2.RPAを利用する業務の決定
続いて、RPAの対応業務や活用範囲を決定します。また、RPAには、カスタマイズ性の高い汎用型と、自動化の対象が一部の業務のみに限られる特化型の2種類があるため、対応業務や活用範囲をもとに適切なツールを絞り込みましょう。
現在の業務内容の棚卸し・可視化
RPAの対応業務や活用範囲を決めるには、まず現状の業務内容を棚卸しする必要があります。この際、業務フローの全体像をチャート図にまとめ、複数のタスクを細分化すると良いでしょう。
RPAが得意とするのは、ルーティンワークやWebスクレイピングなどの定型業務です。一方、戦略策定や提案、価格調整など、作業の度に判断が求められるような業務には向いていません。上記の得意・不得意を考慮しつつ、自動化すべき作業を取捨選択しましょう。
RPAツールの選定
目的・目標を設定し、RPAの対応業務を決めた後は、ツール選定へと移行します。
まずは複数のRPAのなかから、自社に合いそうなものを大まかにピックアップしましょう。そして、無料トライアルを活用して実際にツールを触ってみることをおすすめします。トライアル期間中は自動化プログラムの設計が可能なため、操作性や機能性を肌身で体感できます。
また、ベンダーのセキュリティ体制やサポート体制もチェックすることが大切です。RPAは海外製品が多い傾向にあるため、日本語でのサポート可否もあわせて確認しておきましょう。
3.テスト導入
RPAへの本番環境へと移る前に、スモールスタートで製品を導入し、自社要件に対する実用性や可用性をチェックします。最初は最小限の機能のみが利用できる料金プランを選択し、余分な機能を増やしすぎないことがポイントです。必要に応じてツールを段階的にスケールアップすることで、失敗や後悔のリスクを抑えられるでしょう。
RPAのなかでも、1,600社超の導入実績がある「ロボオペレータ」は、初歩的なPC操作スキルのみで自動化プログラムを構築できます。現場でRPAに精通している従業員がいなくても、安心して操作できるのがメリットです。
RPAを導入するときのポイント
RPAを導入して成功をおさめるには、運用中のイメージを深めたうえで、導入前に入念な準備を行うことが大切です。ここでは、ツール導入前に考えておきたい5つのポイントを紹介します。
RPAの運用費用を確認しておく
RPAを導入する際は、初期費用と運用コストが発生します。初期費用はデスクトップ型やクラウド型などの形態によって差があり、大規模なシステムになると100万円を超えるケースもあります。一方の運用コストは月額約5~10万円と、ツールによって大きな幅があります。
あらかじめ費用の想定ができていないと、ツール導入後、思った以上に費用対効果が低く感じてしまうかもしれません。RPA導入によって期待できる効果と、必要な費用をしっかりと検討することが重要です。
社内の運用体制を整える
RPAを社内に普及させるために重要となるのが社内での運用・サポート体制です。
サポート体制が未整備のままツールを導入すると、現場でRPAに関する疑問や不明点が生じた際に解決手段がなく、ツールに対する従業員の印象が悪くなる可能性があります。最悪の場合は形骸化に結び付く恐れがあるため、ツール導入前に運用体制を整えておきましょう。
具体的には、専門のプロジェクトチームを編成し、RPAやITに詳しい責任者を起用するのが効果的です。組織内でさまざまなデジタルツールを取り扱っている場合は、この機会に社内ヘルプデスクを導入するのも良いでしょう。社内だけでの運用が難しいなら、導入・運用サポートを行っているベンダーに相談するのも一案です。
運用ルールを整える
自動化して良い業務とそうでない業務を区別し、運用ルールを明確にすることが重要です。
運用ルールを定める際は、自動化する業務の向き・不向きだけでなく、ガバナンスの面も考慮しましょう。
たとえば、責任者の承認作業のように人による判断が必要な業務まで自動化してしまうと、トラブルへと発展してしまう恐れがあります。人とロボットのそれぞれの対応領域を明確にしたり、責任担保が可能な体制を整えたりといった配慮が必要です。
自社の状況にあったツールを選ぶ
RPAには直感的に操作できるものもあれば、プログラミングが必要なものも存在します。専門的な技術や知識を学ばなければ運用できないことも考えられるため、運用ノウハウを持つ従業員の有無や現場担当者のITリテラシーなど、自社の状況にもとづいて適切なツールを選別しましょう。
ツールを選び分ける際は、次のようなポイントが一つの基準となります。
- 導入形態(オンプレミス型やクラウド型など)
- 対応業務や社内システムとの相性
- 価格と機能性のバランス
- カスタマイズ性
- 可用性
- セキュリティ体制・サポート体制
野良ロボット対策をする
野良ロボットとは、管理者が不在のまま使用されているRPAのロボットです。管理者の異動や退社、あるいは導入後に成果が出ず、放置されているようなケースで野良ロボットが発生しやすくなります。
野良ロボットの発生を防ぐには、RPAを一元管理するチームを作り、適切な管理者を立てることが大切です。専属のチームが、各ロボットを使用している部門や部署、IDやパスワードなどを統合的に管理することで、野良ロボットが蔓延する事態を回避できます。
RPAの導入における課題
RPAは定型業務を自動化できる便利なツールである反面、導入後に新たな課題に悩まされる企業も一定数存在します。
バーチャレクス・コンサルティング株式会社が実施した「RPAに関する実態調査(※)」によると、次のような課題が上位に挙がりました。
- 社内の人材・組織体制が不十分(49.0%)
- 期待していたほどの効果が出ない/投資対効果がわからない(40.5%)
- 不具合・問題が起きた時にどう対処したら良いかわからない(39.5%)
※調査結果①:企業が抱える、RPA導入に伴う課題・悩みとは? |toolhouse-vxc(別サイトに移動します)
RPAは意味がないと言われてしまうのはなぜ?導入を失敗しないためのポイント >>
このような課題を解決するためには、ツール導入時にベンダーや外部パートナーを活用するのがおすすめです。
パナソニック インフォメーションシステムズでは、RPA製品「ロボオペレータ」の導入サポートを行っています。ツール導入前に他社の導入事例や、RPAの活用方法などを把握することで、上記のような課題に悩まされるリスクを抑えられます。
組織体制を整えたうえでスムーズなRPAの導入を実現させよう
RPAを導入する際は、事前にしっかりと組織体制を整えることが大切です。現在の体制や業務フローに合った適切な運用ルールを決め、目的や要件に添ったツールを選定しましょう。
RPAを初めて導入する、または社内の知見があまりない場合は、「ロボオペレータ」というツールをおすすめします。ロボオペレータは、プログラミング知識がいらず、感覚的な操作のみで自動化プログラムを構築できるためです。
パナソニック インフォメーションシステムズが定期的に開催しているハンズオンセミナーでは、ロボオペレータやRPAに関して気軽に質問を行えます。RPAに興味を持っている方や、ツールの比較・検討段階の方は、ぜひ気兼ねなくご参加ください。