Service Cloudとは?導入することで期待できる効果も解説
Service Cloud(サービスクラウド)は、クラウドプラットフォームのSalesforce(セールスフォース)に含まれているサービスです。カスタマーサポート向けの機能が豊富に備わっており、CRM(顧客関係管理)ツールとしての役割があります。
Salesforceには、営業やマーケティング、カスタマーサポートの最適化に役立つ多種多様なサービスが備わっており、Service Cloudはカスタマーサポートに特化しているのが特徴です。
問い合わせ窓口の一元管理や担当者の自動振り分け、応対内容の分析といった数多くの機能が搭載されており、業務効率化や顧客満足度の向上につながります。
本記事では、Service Cloudの特徴やメリットを詳しく解説します。効果的な運用方法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.Service Cloudとは
- 2.Service Cloudの主な機能
- 2.1.ケース管理
- 2.2.ナレッジ管理
- 2.3.オムニチャネルのルーティング
- 2.4.AI機能
- 3.Service Cloudを導入するメリット
- 3.1.顧客満足度の向上につながる
- 3.2.オペレーターの稼働率を最適化できる
- 3.3.情報を有効活用できる
- 4.Service Cloudを活用するためのポイント
- 4.1.定期的にユーザートレーニングを行う
- 4.2.他ツールと連携など自社に合わせてカスタマイズする
- 4.3.ナレッジを定期的に整備する
- 4.4.SLAを組み合わせる
- 5.Service Cloudで顧客満足度の向上につなげよう
Service Cloudとは
Service Cloud(サービスクラウド)とは、Salesforceに含まれるコールセンター/ カスタマーサポート向けのクラウドサービスです。電話やメール、SNSといったマルチチャネルの問い合わせ情報を一元管理できる点に特徴があります。
一つのダッシュボードに複数のケース(質問内容や顧客とのやり取りの情報が詰まった管理項目)を表示でき、統合的な顧客応対管理を実現します。特に、オペレーター人数の多い大規模なコールセンターでは、対応漏れ・重複対応の回避や、顧客応対時間の短縮に大きな効果を発揮します。
Service Cloudは、Salesforceに含まれるSales Cloud(セールスクラウド)と混同されがちです。Sales Cloudには、顧客情報や営業案件情報の一元管理、営業プロセスの可視化・自動化といった機能が搭載されています。Service Cloudはカスタマーサポート向け、Sales Cloudは営業向けであり、対応領域に大きな違いがあります。
Service Cloudの主な機能
ここでは、Service Cloudの代表的な4つの機能を紹介します。
ケース管理
Service Cloudには「ケース」と呼ばれる管理項目があり、顧客からの問い合わせで取得した質問内容や応対履歴、現在のステータスなどが個別に記録されます。ケースには、「対応中・未対応」などの応対状況や、「重要・保留」といったステータスが表示され、優先度が高い案件や対応漏れが一目瞭然です。
ダッシュボードには、複数のケースが一覧形式で並んでおり、管理者が進捗状況を一元的に把握できます。蓄積したデータをもとに各オペレーターのフォローを行うことも可能で、適切なマネジメントが実現できる点が大きなメリットです。
ナレッジ管理
ナレッジ管理(ナレッジベース)とは、業務マニュアルやFAQなどの社内ナレッジを一元管理するための機能です。
顧客応対中に不明点や疑問があれば、システム内の検索機能を使って即座に適切な回答を見つけられます。オペレーター自身でコンテンツの内容を書き換えることもできるため、社内ナレッジを常に最適な状態で維持できます。
また、ナレッジベースに蓄積した情報は、顧客向けに公開することも可能です。よくある質問やFAQサイト形式でコンテンツを発信することで、簡単な質問であれば、顧客が自己解決できます。
その結果、電話やメールなどによる問い合わせ件数が減り、オペレーターは、より重要度の高い顧客応対に集中できます。
オムニチャネルのルーティング
オムニチャネルとは、電話やメール、SNSなどの問い合わせ窓口を統合し、チャネル間で顧客情報や問い合わせ履歴といったデータを紐づける管理手法です。Service Cloudは幅広いチャネルに対応しており、それぞれの窓口へ問い合わせがあった際に、自動的にルーティング(担当者の割り当て)が行われます。
オペレーターの稼働状況やスキル、平均処理時間などをもとにルーティングが最適化されるため、海外からの問い合わせに対しては英語が堪能なオペレーターに割り振るといった対応が可能です。
AI機能
Service Cloudには、カスタマーサポート業務を支援するためのAI機能「Einstein」が搭載されています。AIの対応領域は、前述したオムニチャネルのルーティングに加え、チャットボットでの回答生成や電話応対記録の文字起こしなど多岐にわたります。
具体例として、顧客からの問い合わせ内容をAIが判別し、専門性が求められる質問はオペレーターへ、それ以外の問い合わせはチャットボットに自動で振り分ける機能があります。
チャットボットが質問に答える際は、システム内に蓄積された顧客情報にもとづいて回答内容がパーソナライズされる点も、AIならではの魅力です。
Service Cloudを導入するメリット
Service Cloudを導入することで、次のようなメリットが生まれます。
- 顧客満足度の向上につながる
- オペレーターの稼働率を最適化できる
- 情報を有効活用できる
顧客満足度の向上につながる
Service Cloudには、顧客満足度の向上につながる数多くの機能が搭載されています。
問い合わせ内容に応じて適切なオペレーターを割り当てるルーティングやナレッジの共有によって、待ち時間の削減やスムーズな問題解決につながります。常に最適化された顧客応対を実現できるのもポイントです。
また、分析レポートにおいて顧客満足度やNPS(顧客ロイヤルティを示す指標)を可視化することで、チーム内の応答率や放棄率、平均応答速度などの指標が確認可能です。
オペレーターの稼働率を最適化できる
Service Cloudには、FAQやチャットボットを構築できる機能が搭載されており、稼働率の向上に効果的です。FAQやチャットボットで顧客の課題が解消すれば、電話やメールによる問い合わせ件数が減り、オペレーターが重要度や緊急度の高い顧客応対に時間を使えます。
また、Service Cloudは、データ入力や報告書の作成といった定型業務の自動化にも対応しています。ノンコア業務を減らすことで、オペレーターの業務効率化(生産性向上)につながるでしょう。
情報を有効活用できる
Service Cloudに蓄積された顧客情報や問い合わせ履歴は、新たな製品開発やサービスの品質向上につながる有用なデータです。
カスタマーサポートには、顧客の課題や悩み、商品・サービスに対するフィードバックニーズを特定するのに役立つ情報が数多く集まります。これらのデータを分析し、営業やマーケティング、開発などの部門と情報を共有することで、顧客のニーズが反映された製品開発や、より質の高い営業・マーケティング戦略の立案が実現につながるでしょう。
Service Cloudを活用するためのポイント
カスタマーサポートでService Cloudを定着させるためには、活用するメンバーが使い方を理解し、ポイントを抑えることが大切です。活用時のポイントを確認していきましょう。
定期的にユーザートレーニングを行う
新しいシステムの導入時には、ユーザートレーニングを行うのが一般的ですが、トレーニングは導入前だけでなく、導入後にも定期的に実施しましょう。
Service Cloudの基本的な機能や使い方を理解してもらうことも重要ですが、優秀な従業員の活用事例を紹介し、必要に応じて外部から講師を招いて研修を実施することで、チーム全体の業務効率化や生産性の底上げができるでしょう。
また、研修や勉強会は、Service Cloudの導入目的をあらためて認識する貴重な機会です。事前に定めた方向性とのズレがないか、目的と手段が食い違っていないかといった点も確認すると良いでしょう。
他ツールと連携など自社に合わせてカスタマイズする
Service Cloudは、さまざまな外部システムと連携できる点がメリットです。自社の使い方に合わせて必要な機能を追加するといったカスタマイズを検討しましょう。
特に基幹システムとの連携が重要で、顧客情報を一か所に集約できるほか、問い合わせ情報から取得した顧客のインサイトを営業活動に活かすことが可能になります。まずは追加したい機能を洗い出し、連携するシステムを検討する手順がおすすめです。
ただし、一度に数多くの機能を増やしすぎると、現場が混乱する可能性があります。必要な機能に優先順位を付け、実装後のシステムが定着してから新たな機能を増やすことが重要です。
ナレッジを定期的に整備する
ナレッジベースを構築した後は、定期的にコンテンツの内容を見直すことが大切です。社内ナレッジを更新することで、問い合わせに対して常に適切な応対ができます。
ナレッジベースを最新の状態に保つには、コンテンツごとの閲覧回数を確認すると良いでしょう。閲覧回数が少ないコンテンツは、改善の余地があると判断できます。コンテンツの末尾に、「この情報は役に立ちましたか」といった評価ボタンを配置するのも一案です。
また、顧客向けのFAQも最新の状態にしておきましょう。古い情報が残っていると、顧客が正しい解決策に辿りつけず、満足度が低下する可能性があります。
SLAを組み合わせる
顧客満足度の向上を実現するためには、目標管理の視点にSLA(サービスレベル合意)を組み合わせることが重要です。
SLAとは、契約者や顧客に、サービス内容・品質・責任範囲などを明示する契約形態です。このような情報を公にすることで、一定の品質レベルを確保しなければならないという意識がチーム全体に浸透しやすくなります。
コールセンターのSLA項目には、次のような種類があります。
- 応答率:入電数に対する応答数の割合
- SL:一定時間内で応答できた割合
- 一次解決率:一次オペレーターの段階で問題が解決された割合
- CPH(Call Per Hour):オペレーター1人あたりの1時間ごとの対応数
- ATT(Average Talk Time):一度の対応における平均通話時間
SLAの各項目はKPI(数値目標)として設定し、定期的に計測することが大切です。常に一定水準以上のサービス品質が確保できれば、顧客満足度の向上につながります。
Service Cloudで顧客満足度の向上につなげよう
ケース管理やナレッジ管理、オムニチャネルのルーティングなど、カスタマーサポート向けの豊富な機能を搭載したService Cloud。ツールの導入により、問い合わせ管理業務の効率化につながります。また、問い合わせ情報の一元管理やデータ分析で、顧客満足度を高められるのも利点です。
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